小説と思われるもの(主に短編
□何事にも計画性が必要です
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「くっ……」
男がそう口から言葉を漏らし、その場に跪く。
見た目から歳は大体20代後半くらいだろうか。
周りには不思議な形をした柱が何本も立っており、それらはずらっと弧を描いて並んでいる。
しかし柱が本来支えるはずのものはどこにもなく、その柱はただの飾りとなっていた。
不思議な空間だった。
天井も壁も何もなく、足場も浮いているようにしか見えずその奥には無数の棺桶が漂っていた。
そんな異様な空間の中には、先程の男を含め6人の者がいた。
そのうちの4人は、10代後半の少年を先頭に男と対立するように立っていた。
互いの間に、なおも緊張状態が続いている。
もう1人は男から見れば右、少年たちから見れば左の位置で浮いていた。
少年と同じくらいの歳の少女だが、
その瞳にはなんの感情も籠もっておらず、背中には透明なピンク色の羽が生えていた。
「おまえの力は、そんなものじゃなかったはずだ」
少年は悲しそうな悔しそうな、そんな複雑な声で呟いた。