響合高校

□夜の学校……(中略)……意味で
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「んんんん、んんん!」

「んん! んんんん!」

「んっ! んんん!」


ヘッドフォン&マスクを装着しGCのコントローラーを握り締め、
対応機種が『Wii』である『大乱闘スマッシュブラザーズX』をプレイするコレットちゃんたちの姿があった。
ヘッドフォンやマスクは、一応彼女らなりの配慮なのだろうか。
てかヘッドフォンはともかく、マスクは声出すの抑えればいらないだろ。
っつーかいくら寮にテレビないからってわざわざ夜の学校にゲームしにくるなよ。


「おっ。俺らもやりたいな」

「でも今ヘッドフォンとマスク持ってないから、無理だよ」

「だからマスクは別にいらねェだろ」


そんな呟きを残し、教室を後にする俺ら。
その教室から、なにやら武器を交える音が聞こえてきたが、気にしない。
慣れとは恐ろしいものである。


「じゃあ次は……、廊下のはそのうちあるだろうから、調理室の方確認、してみるか?」

「まァ、離れたところからそォっと見るだけなら……」


後ろから聞こえる金属音や爆発音を背景に、そんな会話を交わすロイドくんとジーニアス。
歯切れが悪いのは、まァ一々言わなくても分かるよな。

調理室へ向かうと、まだ距離があるというのに、焦げた臭いがしてきた。
その臭いは、あっいっけね、魚焼きすぎて焦げちまったよ、的なものとは次元が違った。
この例えも意味不明だがそれは置いといて。
っていうか似たようなことほんの数十分前にも言った気がするがそれも置いといて。
とにかくその臭いは、調理室から匂ってくるものではない。
どちらかというと、理科室からならまだ納得できる臭いだ。

そうこうしてるうち、調理室の手前までやってきた。
が、不用意には近づかない。
何故なら、


「――おかしいわね。甘い漬物を作っているのに、何故甘い香りがしないのかしら?」


そんな言葉が、調理室から聞こえてきた。
つっこみどころ満載だが、ずっとこの場に留まっているのはあまりにも危険すぎる。
とりあえず確認はした、早々にこの場を立ち去らなければ。
万が一捕まったら最後、明日は迎えられないだろう。

ロイドくんとジーニアスを見る。
2人もどうやら考えは同じらしく、俺の視線に気づくと目を合わせ、僅かに頷く。
そのまま俺たちは踵を返し、足音なく最早地獄と化している調理室から離れる努力をした。
人間、こーいうときの団結力は強いから不思議だ。


「じゃあ次は、体育館か理科室だな。近いのは理科室だしこっちでいいよな」

「そうだね。っていうか結局ボクら、七不思議探して回ってるじゃん。ベタな」

「まァいいじゃねーか。ベタだから嫌とか言いつつベタなことやるのって、
 ベタなようで逆にベタじゃなくなるんじゃね? っつーか“ベタ”ってなんだっけ?」

「とりあえずおまえは辞書で言葉を調べた上内容をまとめてから発言しろ」


そんな会話を交わしながら、3階にある理科室へ行くため階段を上がる。
ちなみに、最初に行った教室は1階、
次の俺らの教室は2階、そして地獄という名の調理室は1階だ。
どーでもいいが、一応説明しておく。

それとこの学校には第一と第二、そして第三理科室がある。
第一は物理、第二は化学、とここまでは普通だが、第三だけは違った。
それは2年全てのクラスによる特殊授業に対応するため、
他のとは比べ物にならないほど頑丈な作りとなっており、置いてある器具も特殊なものが多い。
まァ行くのは物理である第一理科室だから関係ねェけど。
またしてもどーでもいい説明ついでに、第二は2階で第三は1階にあることを補足しておく。
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