響合高校
□夜の学校……(中略)……意味で
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「――さま、姉さま……」
……あれ?
なんか、どこかで聞いたような声だが……。
というか、もう今のセリフだけで誰だか安易に想像つくが。
「あれ、ミスト校長じゃない?」
「ホントだ。何やってんだミスト校長」
「ナチュナルに名前間違えんなよ、なんか余計かわいそうだろ」
教室にいるのがミトス校長だと分かった途端、急にいつもの調子に戻る2人。
っつーか校長も校長で何やってんだ? こんな夜の教室で。
「うう、姉さま……。なんで、僕より先に逝ってしまうの……?」
そんな呟きが、教室から響く。
目が暗さに慣れたためか、又はそこにいるのがミトス校長だと分かっているためか、
あるいは両方の理由で、ぼんやりとだがミトス校長の姿が確認できた。
っつーかミトス校長の姉、マーテルが亡くなったのって4000年も前だよな?
まさか今までずっとこうやって泣き続けてきたのか校長。
「――大丈夫? ミトス……」
「ジーニアス……」
気づくと武器をしまったジーニアスが、ミトス校長へと歩み寄っていた。
さすがは友達。
12歳の生徒と校長が友達なんて滅多にないが。
まァそこを一々つっこんでいたらこの高校成り立たないが。
「なァゼロス、知ってるか?」
「何がだ?」
こちらもいつの間にか武器を収めたロイドくんが、
ミトス校長の肩を優しく抱くジーニアスを微笑ましそうに眺めながら言う。
「あれって、64%は内申点稼ぎなんだぜ」
「あっはは、大正解♪」
「否定しろよ」
何か色々なものが台無しになった気分だ。
一方ミトス校長と言えば、先程の会話が聞こえてなかったのか、
相変わらずジーニアスにしがみつき泣いている。
知らぬが仏とはこのことだろう。
……いや、もしかしたらただ聞こえないフリをしているだけなのかもしれないが。