響合高校

□夜の学校……(中略)……意味で
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「いやァ、遅刻しそうだったんで空飛んでったら、途中でジーニアス落としちまってさ、ははっ」

「“ははっ”じゃねーよ!
 何自転車の鍵落としちゃった的な気軽さで殺人未遂告白してんだよ!
 いや実際その程度じゃ死なねェだろうけど!」

「ロイドが暗いっつーから明かりつけたのに、
 それに驚いて落とすなんてひどいよねー、あははっ」

「おまえも“あははっ”じゃねーよ!
 なんで友達にわたあめ預けようとしたら弾みで落とされちゃった的なノリなんだよ!?
 いや、俺のこの喩えも意味分かんねェけど! つか前も似たようなこと言った気がするけど!」

「あっ。遅くなってごめんね」

「人の話を聞けェェェ!」


夜だというのに思わず叫んでしまったが、しかし周辺に民家はないので大丈夫だろう。
あー、でも近くに寮はあったか。
ってそんなことはどーでもいい。


「ああもう……。で、用事ってなんだよ?」


もうこいつらに常識は通用しないと諦めて、さっさと本題に入る。
まァどうせこいつらのことだし、聞かなくても大体検討はついているが。


「夜の学校ってさ、なんかわくわくするだろ? 探検しよーぜ!」


ああ、やっぱり。
どうせ学校の七不思議でも探そうとか言い出すんだろ。


「んなベタなことするわけないじゃん。
 っていうかそうそう都合よく怪奇現象が7つぴったりあるわけないし。
 そもそも本当に神隠しとかがあったと仮定しても、
 事実行方不明者出してることに変わりないんだから、
 それを野放しにしてる学校もどうかと思うんだよね実際。行方不明者出没なんて責任問題だよ、責任問題」

「ものすごく現実的な意見をどうもありがとう。
 っていうかまだ俺口に出して喋ってないんだからフライングしないでくれるか? やりづらい」


俺とジーニアスが言い争って(傍から見ればコントを繰り広げて)いる中、
なんでもいーから早く行こうぜ! と急かすロイドくん。
というか流石は口より先に手が出る派、いつの間にか校門をよじ登っている。
っていうか、


「……なんでわざわざよじ登ってんだよおまえ。飛べるだろ」

「なんかこっちの方がムード出るだろ?」

「何のだよ」


言いながら横を見れば、
さっきまで隣にいたジーニアスがいつの間にかロイドくんと同じように門をよじ登っていた。
こいつらどこまでマイペースなんだ。
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