小説
□〜月に照らされ〜
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雪がちらちらと降り始めていた。
夜空に浮かぶは望月。
満ちては欠けていく月のように、時の流れを幾度となく繰り返す。
青白い月光に照らされた己の手を、リズヴァーンは見つめた。
「私は愚か……なのだろうか……」
また過ちを繰り返すのかと、不安で仕方がなかった。
リズヴァーンは、神子に話した事がある。決断を恐れてはならない、と。
だが、その言葉はリズヴァーンにこそ向けられるべきもの。
守り抜くと決めた筈なのに、己の行動で失ってしまうかもという不安。
いつも迷っているのはリズヴァーン本人だった。