10/16の日記

12:41
■みなわの日記
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私は高い所が好きだ。

だから屋根の上を散歩して、適当な所から町を見下ろしてみた。

寂しい町並みだった。
アイツの所為だけど。

いつも通りの空。
風の音。
太陽の光。

余りにも不釣り合いで、なんて滑稽だろう。


散歩にも飽きたから、寝転がって流れる雲を見た。泳ぐ空気が髪の毛を拐って頬に当たる。擽ったい。
そうしている内に意識がまどろんで、重力には逆らわず徐々に重くなる瞼を閉じた。







ケビンが呼んでる。仕方無い、戻ろうか
あれ、手に何か持って……、マタタビ?



ムカついたから斬ってやろうと刀を握り勢い良く地面を蹴っ

ガバッ(身体を起こす)

……………



何だ、夢か。夢の中でまでふざけた奴だな。私の何処が猫だというのか全く…

「ちょっとみなわサン?いい加減その勝手にどっか行っちゃう癖直して欲しーんだけどな」

あ、今度は本物。

屋根から降りると奴は笑いながら言った。

「マタタビでもあれば少しは俺に懐いてくれるんかねぇ?みぃチャン」

皮肉混じりにそう呼ぶ男に、誰が懐いてなんかやるものか。
どうせ持って来るならもっとマシな物を持って来い。そう、例えば鰹一匹とか。



ああでも、もし本当に持って来たらその時は














今度こそアイツごと三枚卸しにしてやろう。


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