パーティ会場

□何時もとは違うこと
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(華視点/華In水族館。)


今日は伊佐奈さんの誕生日。
伊佐奈さんの欲しい物が分らなくって、悩みに悩みぬいた。
結局、何も出来ないまま当日を迎えて・・・・・。


何故か私は押し倒されました。






***


落ち着け、私。此処は、冷静に何でこうなったのか思い返してみよう。



2月1日。今日は、この丑三ツ時水族館の館長・伊佐奈さんの誕生日。
しかし、今日も今日とて水族館は忙しかった。平日の火曜日だというのに、一体何所から来るのだろうと言いたくなる位の人の多さ。迷子や落し物も相次ぎ、唯一の『普通』の人間(館長は『鯨』人間。他の従業員は人間ではない)である私も例外なく忙しかった。


「(う〜。コレじゃ伊佐奈さんの誕生日お祝いできないよ〜。)」


ただでさえ何もプレゼントを準備できなかった私は、せめて『おめでとう御座います。』だけは伝えたい。
せめて何か何時もと違うことをしたいのに・・・。


でも、何もかも何時も通り。伊佐奈さんの忙しさも、私のドジっぷりも、みんなのショーも何時も通り。序に言うなら、私が館長室に会計報告に行くのも何時も通りである。


「蒼井です。」

ドアをノックして名前を告げる。
すると、すぐに「入れ。」と返事が返ってきた。


「失礼します。」
「あぁ。悪い、少し待っておいてくれ。・・・すみません。で、件(くだん)の提案ですが・・・」


どうやら電話中だったらしく、伊佐奈さんはソファを指差した。


あぁ、コレも何時も通りだ。コレが日常だ。でも、今日くらいは・・・。
ちらりと、時計を見ると短針は『11』と『12』の間を、長針は『10』を指していた。つまり、『23時50分』。この電話の調子じゃ、今日が終わるギリギリ位まで話し込むだろうなぁ・・・。
下手したら今日中に『おめでとう御座います』が言えないよ・・・・。


沈んだ気持ちでソファーに座る。
耳に入るのは、伊佐奈さんが『金ヅル』と話す声だけ。


せめて、今日中にお祝いしたかったのに・・・・。




***

・・・な。はな・・・。

「おい、蒼井華!」
「ふぁい!?」


伊佐奈さんの声に慌てて飛び起きる。
時計の針は24時を30分ほど過ぎていた。


どうしよう、寝てた・・・!


「華、俺の目の前で寝るとは・・・」
「伊佐奈さん〜っ!!」

私は、思わず伊佐奈さんに抱きついた。


「何だ。あと、勤務中は『館長』と呼べ。」

「館長、昨日何の日だったか知ってますか?」

「昨日・・・?アメリカ初の人工衛星エクスプローラ1号の打ち上げ成功か?」

「はい?」

「だから、昨日。1月31日。旧ソ連に続く快挙らしいぞ。」


「館長、もう2月2日です。昨日は館長の誕生日じゃないですか・・・・・。」


私は思わず深い深い溜息を吐いた。
伊佐奈さんは、日が変わったことにも気付いていなかった・・・。


「私、プレゼント用意できなくって・・・。でも、『おめでとう御座います』って言いたかったんですよ?」


「別に今言えばいいじゃないか。」

「私は!当日に!言いたかったんです!結局、何時も通りで・・・。」

「ふ〜ん。」


突然視界が暗転する。そして、冒頭に戻ります。



「じゃぁ、何時も通りじゃないことをスるか?」

「えっ!?」


ニッコリと爽やか過ぎる笑顔で笑う伊佐奈さんに私はビシリと固まった。


「いや、あの、館長!?まだ、勤務中・・・。しかも、ニュアンスが違うようにしか聴こえませんけど・・・?」


「お前、もう上がりな。だから『伊佐奈』と呼べ。」


「私、お祝いの言葉を言いたかっただけなんですけど・・・・?」


「うん。で、プレゼントはお前だろ?いや、寧ろお前がいい。」


言葉の意味に気付いた、私は顔に熱が集中するのが分った。


「それに、言っただろ?『俺の前で寝るとは「喰ってくれ」と言ってるようにしか思えない』って。」


伊佐奈さんは、くつくつと笑うと後は目の部分だけとなった呪いを隠すための眼帯をはずした。


「聞いてません!」

「だろうな。まぁ、いいや。で、他に言いたいことは?」




「・・・・・・・・・・・誕生日、おめでとう御座います。」



◇◇◇

提出ぎりぎりになってスミマセン。
高校なのに卒論とか書かないといけない上に、卒業認定考査とかでなかなか時間がなく!
駄文ですが、館長のお祝いにささげます!

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