雑話

□不器用な鯨の小学生的愛情表現
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そろそろ閉館時間が近づいてきた館内の廊下をサカマタは歩いていた。
明日の予定や会議の内容が記された書類に目を通しながら会議室へ向かう。
すると廊下の向かい側から少しふらつきながら歩くドーラクが目に入った。

「ドーラク…?」

その妙な様子にサカマタが声をかけるとドーラクが酷くゆっくりと顔を上げた。

「サカマタ…」
ブワッ!!!!
「!!!?」

サカマタの名を呼んだと思うとドーラクの目から洪水の様に涙が溢れボロボロと泣き出してしまった。

「なっ…な,どうし,おい!?ちょっ,」
「っ〜〜〜〜〜〜〜!!」

このまま此所にいるのはマズイ,まるで俺が泣かしたみたいじゃないか!!しかし放置するのもな…。
そう考えたサカマタはドーラクの腕を掴むと,急いで会議室へ連れ込んだ。


「…で,どうしたんだ?」

サカマタはドーラクを椅子に座らせるとそう問い掛けた。しかしドーラクはグスグス鼻を啜るだけで何も答えない。
5分程経っただろうか

「…あ,あのよ,俺さ…か,館長に何かしたか…?」
「…は?」

ようやく落ち着いてきたのかドーラクが涙声で言う。しかしその言葉にサカマタは頓狂な声をあげてしまった。

「どういう意味だ?何か心当たりがあるのか?」
「ねぇよ…,ねぇから聞いてんだろ…」

それももっともだなと思いながらサカマタはさらに問う。

「では何でそんな心当たりの無いことを俺に聞くんだ?何かされたのか?…その,泣いたことにも関係があるのか?」
「…じ,実は…」

酷く話しにくそうにドーラクが話し始めた。


実はここ2・3ヶ月くらいかな,やたら館長に絡まれるんだよ。
最初はさ,前から軽く話したりなんかはするからそれの延長や気まぐれかと思ってたんだ。正直気になんかしてなかったし,何か余計なこと聞いて機嫌損なわせるのも嫌だったから放置してたんだよ。
そしたらさ,何か段々エスカレートしてって…。
あ?何されたか?
あー…,例えば後ろからハサミ掴んだと思ったらそのまま千切る勢いで引っ張ったり,呼ばれたから返事したらインク瓶投げられたり,あと背中蹴られたり,至近距離で尻尾振り回されたり…,あ…あとは…その…。
あー…その,ズ…ズボン下ろされた…。
んなビックリした顔すんなって。
どーせあの人イラついてたんだろ,あの情緒不安定。
まあ,そんな訳で俺最近,あの革靴の音聞くだけで胃が痛くてよ…,てかむしろ何となく気配分かるようになったぜ…。
まあ,でもよ,俺もそんなことじゃあ泣かねぇよ。
じゃあ何でだって?
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