雑話

□フラグクラッシャーな貴方
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あたしはドーラクが好き。
勿論,恋愛感情として。
それなのにドーラクは気づかない。


エプロンを着けてキッチンにむかうドーラク。
そう,今日はドーラクの家で晩御飯を食べるのだ。
ドーラクの作ってくれるごはんは美味しい。
だから待ちきれずについドーラクの周りをウロウロしてしまう。

「ねぇねぇドーラク!!まだ?ねーまだぁー?」
「あーもーうるせぇな!!静かに座って待ってろよお前は!!」
「だってお腹空いたんだもん!!それに動いてないと気絶しちゃう」
そうドーラクに言えば呆れたように小さくため息を吐いて何やらゴソゴソとポケットを探りだす。

「ほら,これやるから静かにしてろ」
そう言ってポンと渡されたのはイチゴ味の飴。
あたしの好きなやつ。

「ありがとー!!」
にかっと笑えばポンポンとドーラクが頭を撫でてくれる。

あたしは飴を口に入れると,なるべくドーラクの邪魔にならないところをウロウロする。
飴を舐めながら撫でられた頭を触るとつい顔がにやけてしまう。
ああ,あたしやっぱりドーラクが好き。
ドーラクは気づいてくれないけど。



思い返せばあたしとドーラクはいつも一緒だった。
家も隣だし,両親同士も仲がいい。
だから赤ちゃんの時から兄妹みたいに育った。
あたしより少しはやく産まれたドーラクはいつもあたしの面倒をみてくれた。
幼稚園のときも小学校や中学校のときも。
そして高校に入学した今も。

これだけ近くにいたら好きにならない訳がない。
だってドーラクは優しいし面倒見がいいし,凄く背も高くてスタイルもいいし。確かに口は悪いときがあるかもしんないけど,あれは彼なりの照れ隠しなのだ。

でもドーラクには凄く厄介なところがある。

人のことにはよく気がつく癖に,いざ自分のこととなると彼は重度の鈍感,ものすごいフラグクラッシャーなのだ。

どのくらいのクラッシャーなのかと言うと,中学の時同じクラスのアイドルから露骨なまでのアプローチ(身体をすり寄せる,激しいアイコンタクトなど)に今現在進行形で気づいてないほど。
このあたしから見ても分かる位にフラグを立てられていたのに,ドーラクはそのフラグ達に微塵も気づくことなく一つ残らずへし折った。
さすがにちょっとかわいそうだと思った。


まあ,そんな訳でライバルはあまり居ない。
でもいつドーラクを誰かに取られてしまうか分からない。だって彼は押しに弱いところがあるから。
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