雑話

□不器用バレンタイン
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もういくつ寝るとバレンタイン。
全国の恋する乙女達が意中の相手に愛を伝える日。
そして,どことなく世間の空気がピンク色に見える日。


正直,なんでそんなイベントがあるんだ!!
心の底からそう叫びたかった。



そうなのだ。もうあと何日もしない内にバレンタイン,しかも一角と付き合ってから初めてのバレンタイン。正直,困っている。一角にやるチョコをどうするかだ。

女共に混じってチョコを買うのも,ましてや手作りなど嫌に決まっている。
例えチョコを用意出来たとしてもどうやって渡せば良いのか。
正直自分のキャラでは無い。もの凄く恥ずかしい。
てゆーか!!そもそも!!何で俺が!!一角にチョコを渡すのが前提になってんだ!?


「…い,…おい,デビルフィッシュ!!」

俺を呼ぶ声にハッと顔を上げればドーラクが俺の机の前に立っていた。

「な,なな…なんだ…よ,ド,ドーラクク…」
「なんだじゃねーよ,なんだじゃ。さっきから何べん呼んだと思ってんだよ!」
そう言いながらドカッと前の席にドーラクが腰を下ろした。

「わ,悪い…い,かん,考え事と,して,てた…」
「考え事って?」
「い,いや…別…つに,に…」
「ふぅーん」
そう言いながらドーラクは肘をついてケータイを弄りはじめた。
何しにきたんだよコイツ。

そこまで考えて溜め息を吐いたとき,ある考えが頭に浮かんだ。
そういえばコイツ,サカマタと付き合ってなかったけ,バレンタインはどうすんのかな,と。
そうだ,コイツの意見を聞いて参考にしよう!!
そうと決まればいざ実践!!

「な,な…なあ,ドッ,ドーラク,クは…サカ,サカマタにに…チ,チョコど…どうする,るんだ,だ?」
「…は?」
「い,いや…だから,ら,バ…バレン,ンタインデ…デー,だ,だよ…」
「何で俺がサカマタにチョコやんなきゃなんねーんだよ。大体…」

グァッシャーンッ!!!!!!

「いっ,委員長がフカにアッパーカットキメたぞっ!!!?」
「サカマタッ!?」
凄まじい音がした方を振り向けば,片腕を上げながら仁王立ちしているサカマタと,ノックアウトされて床の上で伸びているフカが見えた。周りに飛び散ってる白いの,もしかしなくても歯かアレ。フカの。
どうやらサカマタは此方の会話を聞いていたっぽい。そんなにショックか。チョコ貰えないの。

「サカマタ!!何してんだよ!?」
ガタンとドーラクが席を立ちサカマタの元へ駆け寄る。

ドーラクじゃ参考になんないな…。
そう結論付けた俺は教室をあとにした。
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