雑話
□こんなの知らない**
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只今深夜の午前2時。
場所はサカマタの部屋。
その部屋のベッドの上で向かい合う鯱と蟹。
「なぁ,サカマタ。何だよ,こんな時間に」
ドーラクは不思議そうに首を傾げる。
「何ってお前,本当に分からんのか?この状況でも?」
「えー…,あ,添い寝?」
「………………。」
絶句しながらサカマタは肩を落とす。
そして,心の中で叫ぶ。
何故この状況でその発想なのだと。
因みにこの状況はと言うと,サカマタがドーラクをベッドの上で押し倒しているという,誰がどう見てもピンクな方向にしか発想出来ないような状況。
それなのにこの蟹ときたら。
「あ?じゃあ何だよ?分かった!!プロレスか?」
先ほどからこの調子である。サカマタもいい加減コイツわざとか?と疑いたくなってくる。
しかし,ドーラクの表情を見る限りそれは無さそうだ。
そろそろこの状況に持ち込んで30分になる。
どうしたものか,とサカマタが考えていると,ある考え,しかもあまり良くない考えが頭をよぎる。
もしかして……
「もしかしてお前…,交尾したこと無い…?」
「はあ!?」
ドーラクの顔が怪訝そうに歪む。
「どう言う意味だよ!?つか嘗めてんのか?俺だって子作りくらい…」
「そう言えばお前らの交尾ってどんな…」
「あ?どんなってそりゃ…,メスが産んだ卵にブっかける…」
「分かった,もういい」
ビシリと手で制しながらサカマタは叫びそうになった。
嗚呼,これが種族の隔たりかと。
そうなのだ。
蟹は鯱と違い卵生。幾ら人型になっていようがその植え付けられた考えは変わらない。
サカマタは頭を抱えた。
「サ…サカマタ?」
黙り込んだサカマタにドーラクが心配そうに声を掛ける。しかし反応は無い。
サカマタは懸命に頭を回していた。どうする?どうしたものか,どうしたら。
しかしここである考えにたどり着く。
知らぬなら教えるまでだ,と。
「よろしい,ならば俺が調教…もとい,教えるまでだ!!」
「へ?何を?てか今,調教って…!?」