ヘタリア

□だって好きだから!【西ロマ】
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 ドクン・ドクン

と心臓の鼓動が嫌なほど胸に響く。

 やべぇ、と思う気持ちに背中を押され俺は家へと帰る足取りをいそがせた。

パカッとケータイを開き時間を確認する。深夜2時39分、完全に真夜中だ。

ハァー・・・深いため息が口から零れる。

スペイン、絶対怒ってるよな・・・。

頭に浮かぶのはさっきからこのことばかりだ。

 今日は俺の誕生日、と言うことで俺とベネチアーノは、

『たまには兄弟水入らずで誕生日祝い〜やぁ。』

『そうだな、たまには。』  

と、スペインとジャガイモ野郎に言われたから

久々に兄弟2人だけで誕生会を開いたんだ

けど、

『日付けが変わるまでには帰ってきぃや。俺もロマの誕生日いわいたいねん。』

というスペインの言葉つきで



 俺はもう一度ケータイを開くが、どう見てもヤッパリ

俺の誕生日の日は終わり、日付けもとっくに変わっていた。

 約束の時間に遅れてしまうこと自体はよくあるのだが。

今回は時間も時間だし、何より大好きな人が自分の誕生日を祝いたいと言ってくれたのだから、

遅刻してしまうことへの罪悪感が半端なかった。

 ハァー・・

足取りが重くなる。

家、帰りたくねぇな・・・。

自分でも、いくらなんでもこんな時間遅い時間に帰るのはどうかと思うくらいだ、

願わくば、家の鍵がしまっていればいい、と思う。

そうすれば、ヴェネチアーノの家に引き帰って、明日

『帰ったけど鍵が開いてなくて入れなかったぞ。』

と言い訳できるが。


ヴぅ・・・

家に近ずいたところできずく、

部屋の明かりが全部付いていたのだ、それはもう怖いほどに。

もうこんな真夜中なのに・・・

アイツ絶てぇ起きてやがるな。

 鍵が閉まっていますように。鍵が閉まっていますように。鍵が閉まっていますように。鍵が閉まっていますように。かぎがしまっていますようにぃ!

 俺は呪文のように心の中で、そう何度も唱えると、

そぉ〜っと ドアノブに手をかけた。
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