精神異常者の集まり

□新人の初仕事
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『………嘘ですよ…ね?』

征「あちゃ〜

お嬢ちゃんの時とここまで一緒とはね…」

絞「次は…人質だった潜在犯を撃とうとした俺が、新人監視官に撃たれるってか?」

朱『本当に、冗談に聞こえないんでやめて下さい…』



その日は、秋晴れのまだ残暑の残る夕暮れ時


一人の新人監視官が刑事課一係に配属された日の事だった





〜刑事課一係オフィス〜


『今日からこちらに配属になりました神崎 燈菜です

よろしくお願いします』

朱『私は監視官の常守 朱です

こちらこそ、よろしくお願いします』

征「俺は征陸 智己」

絞「絞噛 慎也」

縢「縢 秀星で〜す
よろしくね〜」

弥『六合塚 弥生です』

宜「俺は宜野座 伸元だ
という訳で早速だが…」

朱『いくら何でもそれは…』

宜「君の時と、そう変わらんだろう

刑事課はどこも人手不足だからな…
新米扱いはしていられんのだ」

絞「…で、事件か?」

宜「あぁ…街頭スキャナーの色相チェックに引っ掛かり、セラピーの通告をしたドローンを振り切り逃走

通行人が多くてドローンが追えなかったようだ」

『その後、街頭スキャナー等には?』

宜「今のところ引っ掛かっていないらしい」

縢「…最後に見たのはどこっスか?」

宜「それがだな…」


宜野座が蟀谷(こめかみ)に手をやる

朱が宜野座の持っていた報告書を覗き見る


朱『ここ(公安局ビル)の裏通り…ですか』

弥『嘗めてるわね』

絞「そいつの名前は?」

宜「それも問題なんだ

今、逃走している奴は6年前に死んだとされていた奴でな


しかもだ…佐々山と絞噛が始末したはずの潜在犯だった」

絞「何だと?」

『…亡霊とかないですよね?』

縢「ゾンビ…とかもないっスよね?」

宜「そんなことが有ってたまるか!」

征「まぁまぁ…
お嬢ちゃんの初陣の様にならんといいがなぁ」

朱『そうですね…』

宜「…そういえば似ているな

スキャナーの記録したサイコパスもフォレストグリーンの潜在犯のようだし…」

『あの…
私は誰とどこへ行けば…?』

宜「絞噛…お前が一緒に行って片付けてこい

常守監視官は征陸と公安局の周りで聞き込みや捜索を、神崎監視官と絞噛はこいつ(潜在犯)の家近辺での聞き込みや捜索をしろ」

朱『『はい!』』

宜「縢と六合塚は俺と通常勤務にあたりつつ待機だ」

縢「へ〜い」

弥『わかりました』

宜「監視官には、用心の為にドミネータを運ばせているドローンの鍵を渡しておく」


そう言って宜野座は燈菜と朱に鍵を渡す

それを受け取り、絞噛の前に歩いていく燈菜

すぐに踵を返しながら返答する

それを見ていた他のメンバー達は、苦笑しながら言葉を交わす


『あの、段取りの打ち合わせとか…』

絞「必要ない」

『えぇ…?ちょ…!』

朱『絞噛さんはいつもこんなんですよ…』

征「まぁコウにある程度任せておけばいいってことよ」

絞「俺達には俺達なりの流儀があるからな…

だが、その責任を負うのは監視官であるあんただから、俺のやり方が気に入らない時はドミネータで俺を撃てばいい」

『はぁ!!?』

絞「俺達も潜在犯だ

知っているんだろう?」

『き、聞いてはいましたけど…

だからって…』

縢「コウちゃん漢前〜!」

弥『また撃たれても知らないわよ?』

絞朱「『………………』」


六合塚の一言で、絞噛と朱が苦虫を噛み潰したかの様な顔をしながら、お互いに目を合わせる

それに爆笑したのは縢一人だけだった







 

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