‡宝物の部屋‡
□《傍にいるのに・・・》
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監視モニターに、映し出されている2人の人物がいた。
その姿は忘れる事など出来ない、ゴクウブラックとザマス…トランクスが住む、未来の世界で『神』でありながら、人間の殲滅しようと殺戮の限りを尽くした者達だ。
悟飯は目の前にいる彼らの事は、悟空から話しに聞いてはいたが、周りの風景がや吹く風もリアルで、あたかも自分が悟空やベジータが経験した事を、追想している様に感じる。
ブラックとザマスが、目の前にいる悟飯の存在を認識し、不敵な笑みを浮かべた。
悟飯の背中に、冷たいモノが流れる。
自分もフリーザやセルと対峙したが、これ程の『殺意』を向けられる事に、恐怖するのはやはり恐ろしく感じた。
「穢らわしい人間…絶対神ザマスの名の下に、滅びるが良い」
ブラックとザマスの地を這う様な、低い声を聞こえたと思ったら次の瞬間、悟飯の体は宙を舞い、瓦礫の山に吹き飛ばされていた。
「がはっ…」
今何が起こったのか、思考が追いつかない。
恐ろしく冷たい視線を向けられ、悟飯は体が竦み上がる。
(攻撃が全然…見えなかった。お父さんとベジータさん、トランクスさんは、こんな恐怖を感じながら戦っていたのか!?)
戦闘から一線を置き学者として、職業に就いた今では、戦いの感覚をすぐに取り戻す事は難しい。
でも、そんな弱音を吐いてはいられない…ブラックとザマスの戦闘能力は現段階では、格上だが…戦わねば確実に『死ぬ』愛する家族や自分を『想って』くれている存在がある限り、死ねないのだ。
ブラックとザマスは、シンクロした動きで戦闘態勢に入ったその時、何処からか高エネルギーの気弾が飛んできたと思えば、一瞬で彼らを消し去った。
「人間が神より強い…など、あってはならないのだ」
ザザザァ…
ブラックとザマスは、砂嵐の様にかき消えると、悟飯は気弾が飛んで来た方向を見ると、そこには悟空にソックリな、浅黒い肌をした人物が立っている。
悟飯は、その人物を知っていた。
自分が幼い頃、地球に『神』しか食べる事を許されない、樹を植え付け滅ぼそうとした人物だ。
「ターレス…?」
悟飯の目を見開いた顔をを見たターレスは、不器用ながらも口角を上げて笑った。
その時、彼の目の前が眩く白い光が視界が広がる。
頭を覆うように付けていたゴーグルを、両手で外すと、悟飯は溜め息をした。
(ターレスはあの時、何を僕に言おうとしていたのだろうか?)