‡空飯の部屋‡

□【ファーストキス】
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お母さんお手製の手料理がテーブルに所狭しと並ぶ我が家の食卓。
大量に用意されたそれらを巨大な胃袋を持つ僕らが猛スピードでかき込み堪能するいつもの食事の風景に、突然弟の悟天が爆弾を投下した。


「へんてこりんな形をした岩の向こうに、黄色い実がなる木があるでしょう。その木の下でお兄ちゃんがビーデルのお姉ちゃんとキスしてたんだよ」


途端に僕は口の中にあるものを、向かいに座る悟天めがけて思いっ切り吹き出してしまった。
前にもこんなことがあったなような。
あの時爆弾発言したのはお母さんだった。
そのお母さんは持っていた箸を取り落とそうとしたのも忘れたかのように両手を組み、目をキラキラと輝かせている。


「悟飯ちゃん、遂にビーデルさんと結婚するだか?」


まるで夢見る乙女のようなお母さんに、僕は慌てて否定した。


「ま、まだ結婚なんて早いですよ!それに・・・あれはビーデルさんの方から・・・」


最初の勢いはどこへやら、言葉を紡ぐうちに僕は言い訳がましく口篭った。
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