‡宝物の部屋‡
□《傍にいるのに・・・》
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悟空と悟飯は、久しぶりに西の都にある、カプセルコーポレーションへやって来た。
「悟飯、ブルマはどんな用事があるって、言っていたんだ?」
「ブルマさんは、試作品のバーチャルゲームを僕に、体験してほしいと言っていました。何でも、バグを発見する為らしいですよ?」
悟空は、ブルマからの用事…と聞いた時点で、とんでもない事を頼まれるのではないかと思ったが、バーチャルゲームの試作品の体験と聞き、胸を撫で下ろしていた。
破壊神ビルスや天使のウィス絡みだと、必ず厄介ごとなので、絶対に断ろうと決めていたのだ。
戦いがない時は退屈だが、農業をしている悟空にとっては、平和な日々が一番だと思っている。
妻のチチから、怒られる事も多々あるが、それも良い。
カプセルコーポレーションの建物に、珍しく正面玄関から入ると、悟空と悟飯はブルマの姿を捜す。
すると、長い廊下からブルマが笑顔で、こちらへ向かって来るのが見えた。
「いらっしゃい!孫くん、悟飯くん!!」
「オッス、ブルマ」
「こんにちは、ブルマさん」
いつものように、挨拶を終えるとブルマは早速、件のバーチャルゲームを開発している部屋へ、悟空と悟飯を案内する。
「悟飯くん、これを付けてくれるかしら?」
ブルマは、ゴーグルの様な機械を悟飯に渡すと、満面の笑顔でそれを素早く彼の頭を覆う様に付けた。
「頑張って、ミッションをクリアしてね。私はバグが無いか、離れた所から見てるから」
「ちょっと…待って下さい。ブルマさん、このゲームがどんな内容なのか、説明して行って下さいよ〜」
悟飯の訴えも虚しくも、部屋の扉が閉まる音にかき消される。
仕事という探究心の塊の様なブルマを、誰にも止める事は出来ないのだ…と、悟飯は今更ながらに溜め息をして理解した。
彼の頭を覆うように付けられたゴーグルは、機械独特の起動音が鳴り、目の前の風景が部屋の中から、西の都が瓦礫の山の荒廃したモノへと変わる。
(こ…これは、もしかしてこの前、未来から助けを求めてタイムマシンに乗ってやって来た、トランクスさんが見ていた世界なのか?)
「ふふ…悟飯くん、どうかしら私が開発しているバーチャルゲームは?」
ブルマが別の部屋で見ている監視モニターには、悟飯が見ているモノを映し出している。
それを彼女の隣にいる悟空は、苦虫を噛み潰したような表情をしていた。