バレンシアで乾杯を

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イタリアの山奥、そこに少し古いが大きな屋敷が健在していた。独立暗殺部隊ヴァリアーの本拠地だった。
そこへ1台のヘリが降り立った。

朝、ヴァリアー幹部の面々が起床する時間。食堂には珍しくボス、XANXUSの姿があった。朝食が配られて少しした時、廊下をドタドタと歩きこちらへ向かってくる音が聞こえる。
激しく扉が開くと同時にXANXUSの手元にあったグラスは扉の向こうに立っていたスクアーロにクリーンヒットする。

「ゔぉぉぉい!!何すんだぁ!!」

スクアーロの怒声に舌打ちで返すと、早くしろと急かす。

「…アリス」

スクアーロに呼ばれ廊下で待機していたアリスはひょこっと顔だけ出し食堂の中を見渡す。XANXUSの存在が怖いのか、横の髪を目元に持っていき隠していた。
しかし、着いて来いと、彼に促されたためゆっくりとした足取りで、XANXUSの元まで歩み寄っていく。側まで来た時、本能なのか畏怖なのかは定かではないが、彼の前で跪く。

「…見せろ」

何を…とまでは付け足さなかったが、アリスには分かっていたのだろう、小さく頷くと右手をXANXUSの前に上げると、その手に炎が灯る。それは全てを飲み込むかのように黒く、底が見えないほど禍々しい炎だった。
静寂の中をゴクリ…と後ろで唾を飲む音が聞こえる。暫く見ていたXANXUSだが、もう用は済んだのか視線を外した。そのままスクアーロへと視線を移す。
彼は面倒くさそうに短くため息を吐くと、ベルフェゴールとマーモンに何かを話す。彼の指示に1人は上機嫌に、もう1人は不機嫌になっていた。
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