原田左之助

□6.初めてのケンカ
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「断れ!」



「嫌です!」




「心配だって言ってんだ!」


「ですから、心配いらないんですっ!」









とある日の朝食後、二人は言い争っていた。





怒濤のように日々が過ぎたため原田は忘れていたのだが……





「合宿は参加すんな!」







そう、千鶴が所属する委員会の合宿が再来週に迫っていたのだ。




有り得ない男女比に加えて、可愛くて鈍感な彼女は自分がモテる自覚が無い。





何かあったらどうすんだ!




そんな心配を千鶴が"大丈夫ですよ"と困ったように笑って答えたのがきっかけで、それは始まった。




「友達のお千ちゃんも一緒にいるし、大丈夫です!」



「あのなぁ……男ってのはそんなの関係無ぇんだよ! それに何かあったとき力で勝てないのは目に見えてんだろうが!」




初めて原田に怒りをぶつけられて、千鶴は段々と泣きそうになっていた。


だけど楽しみにしていた上に、既にお金を払っていた千鶴は必死だった。








対する原田も、大人しい千鶴がここまで頑なになることに驚いていた。
少し諭す様に言えば諦めるだろうと思っていたから。






「絶対に駄目だ!」






「絶対に嫌です!」






両者共に一歩も引かず、結局いつもの朝のいちゃつきタイムは一切無いまま互いに家を後にしたのだった。











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