原田左之助
□2.5 きっと無理……多分無理
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恥ずかしい……
とてつもなく恥ずかしい……
淡い期待を抱いていたの
会って間もないのにこんなに気に掛けてくれる……
少しくらいは……
恋愛対象なんじゃないかって
期待してたの
だから恥ずかしくて……
恥ずかしくて恥ずかしくて……
あの日、原田さんの顔も見ずに勢いよく飛び出した
失礼なヤツだと思われたかも……
呆れられたかも……
部屋に入るなり全身の力が抜けて、その場にズルズルと崩れ落ちた。
涙が止まらない……
嗚咽も止まらない……
けれどよく分からない思考は冷静だった。
未練がましく連絡先なんて残してたら……私きっと甘えちゃう……
震える手でアドレス帳……メールボックス……着信発信履歴……全てから記録を消していく。
まるで……原田さんと一緒にいたことが嘘みたいだなぁ……
会う度……話す度……好きって気持ちが止められなくなった……。
笑顔も困った顔も真面目な顔も……少し照れた顔も……
「全部……大好きなの……」
思わず口にすると、余計涙が止まらなくなって、千鶴は必死に声を圧し殺して泣いた。