☆小説

□石榴の哀想詩―ザクロノアイソウカ
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燃ゆる太陽を時たま隠してしまいたい。
隠してしまえば、雨は降るだろうか。眩しい光に手を伸ばし、僕は長い楼閣を歩いている。

此処は、四大国の一つに位置する東の國『セリア』。
穏やかな國で、水も綺麗で、一時は有名だった。ある時を境に一変してしまったが。

まぁ…住めば都。
あながち言葉は間違っていないだろう。


「…雨、降らないかな」


ボソッと、呟いてみる。
今の時間帯は誰も通らないから独り言しても平気だと思っていたが、目の前から誰かが歩いて来る。
身長はやや低めで、あどけなさが残る一人の少女。サラサラの茶髪に、青瑪瑙を嵌め込んだ様な瞳。
真っ直ぐと僕を映している。
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