☆小説

□recollection―(咲)
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せせらぎに揺られ柳の葉が嵩(かさ)む。
和を思い描かす風習が名残である都は、夏真っ盛りだ。
蝉の鳴き声が辺りに響き渡るのであった。
都会とはまた違う風景が流れて、懐かしさを思わせる國…
四神に護られ、水の神にも護られている。そんな都の中心部に先祖代々が巫女の家系が存在した。
赤い鳥居が立派な迫力を醸し出している場所こそ『九神(くしん)』の屋敷。


「巫癒様、お待ち下さいませ…」


「嫌よ。私は、決して神々のモノになるなんて……絶対に嫌っ」


腰まである漆黒の髪が風にそよがれる。制服を着た少女は、庭で大きな声を上げた。
困った表情を浮かべさせている侍女が慌てて捕まえようと手を伸ばしたが少女はお社の中へと歩いて行った。
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