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その次の日から私はジョージを避けることにしたんだけど、ジョージは気づいてるかな?

なんてこの期に及んでもそんなこと思ってる私が嫌でしかたがない。

何度も自分で自分を怒って、泣きそうなのを堪えて、気がついたらもう本当に手遅れだった。


「リリアっ!ジョージが告白OKしてくれたの…!」


頭の片隅で、ああもうそんなに日にちが経ったのか、なんて呑気な声がする。

その頭の中の声も自分なのに、違う人間が自分の中にいるようで吐き気がしてくる。

吐き気だけじゃない眩暈だってする、目がぐるぐる回って倒れちゃいそう。


「リリアどうかした?」

「いいえ、なんでもないわ。」


心配そうなヘーレンを前に私はいつかのように自分なりに微笑んだ。


「あ、噂をすればジョージだわ!リリア、最近ジョージと話してなかったわよね、一緒に話ましょう?」


ヘーレンがそう言った瞬間に表情が強張った。

もちろんヘーレンは気づかない。


「ジョージ!」


名前を聞いただけでこんなにも苦しい。

後ろからこっちに向かっている足音に心臓が嫌なほど高鳴る。

こんなに素直な自分が本当に嫌いだ。


「ヘーレン」


以前よりヘーレンを呼ぶ声が優しくなったなんて、信じたくない。

そんな優しい声でヘーレンを呼ばないでよ。

その声で私の名前まで呼ばれたら、私はどうすればいいの?


「どうしたんだヘーレン、さっき会ったばっかりなのにもう恋しくなった?」

「ち、違うわよっ!別な用件で…。」

「なんだ、もしそうだったら優しくキスしてあげようと思ってたのに。」

「リリアの前でそういうこと言わないで恥ずかしいじゃない!」

「#name#?あぁ、久しぶりだね!」


まるで今まで気づかなったみたいにジョージが話しかけてきた。

心臓が張り裂けそうだけど、いっそこのまま裂けてしまえばいいのに。

まともに二人が見られないなんて、前までは見るくらいはできたのに、おかしいな。


「最近全然話してなかったでしょ?だからお話しようと思って。」

「ああ、そういえばそうだね。」

「じゃあリリア、改めて言うわね!私たち付き合い始めたの!」


視線を少しだけ上に向けて、すぐに後悔する。

ジョージの腕にはヘーレンの白くてきれいな腕が絡まっていて、私の胸には私の黒くて汚れている気持ちが絡まる。


「ヘーレンの恋を応援してくれてたんだろ?リリアも案外いいやつだったんだな!」

「あぁありがとう…。」


そこはありがとうじゃないでしょう、私の馬鹿。


「リリアもしかして、久しぶりにジョージと話したから緊張してるの?」

「え、」

「そうなんでしょ?」


ヘーレンの言葉と鈍さに驚き顔を上げると、視界に何ともお似合いな2人が入ってくる。

苦しくて心臓が止まりそうだけど、いや、止まりそうだから、早くこの場から離れないと。


「あー…付き合いたての2人の邪魔しちゃ悪いよね?」

「そんなことないよ。」


ヘーレンを見て言ったのに、即答してきたのはジョージで、心臓がこれ以上ないってくらいにドキドキしてる。


「そ、そうよリリア!一緒に話ましょう?」


ヘーレンもそれに便乗するように話しかけてくる。

どうしよう。


「でもいいわよ、私図書室に…」

「リリア。」



図書室に用があるから、そう言おうとしたのは背後から聞こえた声にさえぎられた。


「パーシー…?」


振り返って視界に入ったパーシーは眉間に深く皺を寄せて私たちを見ていた。


「いこう。」

「は、」


質問を投げかける暇もなく、私はパーシーに手を引かれてその場を後にした。



   

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