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始めは驚いたけど、話を聞いてみると彼は双子の兄だそうだ。


赤毛の彼がパーシーだと名乗り、やっと彼がグリフィンドールの監督生だと分かった。


どうやら私と双子が話すところを見たことがあって、それで記憶に残ってたみたい。


「(ああ、それで…)」


ジョージがお兄さんに私のこと話してたのかも、なんて期待した自分が馬鹿みたい。


「君はどうしてここに?」

「え、」


泣きにきましたなんていえるわけないから本を探しに、と適当に言ってしまった。

適当なこと言うなんて今まではなかったのにな。


「そうか、何か悲しいことでも?」

「え?」


悲しいこと、っていうか失恋しましたけど何か?とも言えるわけなく黙ってしまう。

ああだめだ、泣いてしまいそう。


「泣きそうな顔してるよ。」

「そんなこと…ない」

「でも、」

「だいじょうぶだから」

「本当に?」

「だいじょぶ。」

「そうか。」

「気にしないで。」

「ああ、じゃあ本を取ってくる。」


それだけ言うとパーシーは本を取りに席を立った。

足音がどんどん遠くなって、終いには聞こえなくなった。


「泣きそうな顔、してるの…?」


自分の頬にそっと触れてみたり、軽くひっぱったりした。

そんなことしたって何も分かりはしないんだけど。


「ほんと、わけわかんないな…。」


さっきよりも強く頬を引っ張ったら痛かった。

痛くて、両手で拭えないほどの涙が馬鹿みたいに溢れてきた。


パーシーが帰ってくるまで泣こう、そう決めて。


(彼が帰ってきて私の頭を優しく撫でてくれている手に気がついていたけど、それでも私は泣くのをやめなかった、ごめんなさい、甘えよね。)

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