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ヘーレンが帰ってきたのは、本当に一時間後だった。


「遅かったね…。」

「えぇ、今日のやつはしつこかったわ。」


本当にしつこかったらしい、すごくヘーレンは苛立ちを隠せずに眉間に皺を寄せた。


「ヘーレンはモテモテだね!」

「モテる女は辛いねぇ!」

「ええ本当に辛いわ」


でもほら、次の瞬間にはすぐにいつもの笑顔の絶えないヘーレンに戻ってる。


「そういえばあなたち、リリアに何もしてないでしょうね?」

「ビアス?話してただけだよ」


そう言って双子の片方は微笑んだ。


「ジョージ、何もしてないのね?」


ヘーレンは私によく話しかけてくれた子をジョージと呼んだ。

そうか、そっちがジョージなのか…。


「してないって!」

「ならいいけど…リリアに変なことしたらただじゃおかないから。」


またヘーレンは可憐に笑ったが、心なしかいつもより怖い微笑みだった。


「あ、そうだヘーレン!明日4人で出掛けないか?」

突然、フレッドが提案してきた。

4人?
いつも3人でいるのに。

ヘーレンとジョージとフレッドと…リーかしら?


「私は別にいいけど、リリアはどう?」

「え、あ、私は一人で行けるよ?」

「行くってどこに?」

「授業に。」

「…リリア、貴方も誘ってるのよ?」

「え、私入ってるの?」


ヘーレンが呆れたように言ってきたので驚きながらそう言ったら笑われた。

失礼ね。


「で、ビアスは行くの?」


フレッドが優しく聞いてきたけど、子ども扱いされてるみたいでちょっといやだ。


「あ…い、行く。」


とっさに出た言葉に自分で言った言葉なのに耳を疑った。

苦手だったはずの双子とどうして行こうと思ったのか全然分らなかった。


けど、自分の中の何かが私を突き動かしたのだ。

  

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