まるで風船

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「きあ、今日も授業出たの?」

「うん…。」


俺がそう尋ねても、きあはだるそうに談話室のソファに寝そべっていた。


「こ、これも私の今後の自由のため…。」


などと自分に暗示をかけている。

うなされているようにも見えなくもない。


「きあ、寝るなら自室で寝ないと風邪引くよ?」

「うん、わかってる。でも、だるいの…。」


その声も本当にだるそうだった。


「だるいって・・・熱あるんじゃないか?」

「分らない…。」


そこで俺は思った。

これはきあに触るチャンスではないか?

今は幸いハーマイオニーたちがいない。

きあの食事を取りに大広間に行ったのだ。

だから俺がきあの熱を計らねばならないのだ。
そうだ、熱をはかるんだ。別に下心なんてこれっぽっちもないぞ!


「ジョージ君、なんか頭ガンガンしてきたよ…」

「えっ大丈夫か?」


そい言って少し戸惑いながらも、きあのおでこに手を置いた。

うわ、熱い。


「冷たい」

「…!」


なにやら手の甲にも熱を感じて、自分の手を見てみる。

そこには俺の手の上にきあの手があった。

うわ俺、幸せ…!!


「ち、ちょっと熱あるなっ。」

「んー…」


きあはそれを聞くとゆっくりと瞼を閉じ、眠りはじめた。

今なら俺も永遠の眠りにつけそうだ。


「きあー?」

「大丈夫かい?」

「ご飯持ってきたけど、食べられる?」

「仕方ないからジョージのもついでに。」


しばらくして四人が帰ってきた。

時間を見てみたらきあが眠ってから10分ほどたっていた。

俺もずいぶんとぼーっとしていたらしい。


「きあっ、おでこっ!」

「は?」

「あ、違った。きあ、熱あるみたいなんだっ!」

「それはたいへん!医務室に連れて行かないと…!!」


それからのハーマイオニーの行動は早かった。

気が付けばきあは医務室のベットだ。


眠っているきあの手をやんわりと握ると、きあも弱い力で握り返してくれた。

今日は幸せで眠れそうにない。


一時の幸せ

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