それはあまりにも

□周囲
1ページ/1ページ

 


今日はドラコが来れないらしい。

寂しかったけどドラコも忙しいんだよね、私になんて構ってられないよね。
分ってるから何も言わなかった。


「先生、ホグスミードに行きたいです。」

「ホグスミード?ダメですよマリア、病気が悪化します。」

「死んでもいいから」

「死んだらダメだから言ってるのです」


ちゃんと自分のことを考えなさい、と先生に怒られてしまった。

でもいいの、これは私なりの抵抗。

ただ死んでいくなんていやで、15で死ぬ定めならそれまで自由に生きたい。

でも周りはそれを許してくれない。

先生も、生徒も、ゴーストでさえも、私が医務室から出れば場違いだと言わんばかりに話しかけてくる。


「貴方がマリア?」


気が付けば目の前には知らない女の子が立っていて、私の名前を呼んだ。


「うん。」

「私はパンジー・パーキンソン。率直に言うわね、これ以上ドラコに関わらないで。」


本当に率直だわ。
パーキンソンは今、確かにドラコと言った。
どうやらドラコの知り合いらしい。


「最近ドラコは貴方に付きっ切りだわ、呪われてるみたいに。」


胸がドキドキしてる、嫌なドキドキだ。

ドラコといるときみたいなドキドキとは全然ちがう。


「呪ってなんかないよ。」

「そんなの分ってるわよ!死んじゃうようなヤツがドラコに近づかないでって言ってるの!」


声を張り上げて怒鳴るパーキーソン。
どうしてこういう時に先生はいないのかな。


「貴方は死ぬけどね、ドラコはあなたが死んでも生きるのよ?死人がドラコの人生を無駄にさせないで!」


ねえ、さすがに酷いと思わない?
死人だって恋したっていいじゃない。


「それに、ドラコに相応しいのは私なんだから!」


それだけ言うとパーキーソンは医務室から出て行った。

結局パーキーソンはそれを言いたかったんじゃないの?

ドラコのためとか言って結局自分の恋路を邪魔されたくないだけなんじゃない?


「弱虫。」


もういなくなった彼女の背中に向けて言った言葉は、跳ね返って私にぶつかる。

結局私も弱虫なのだ。


それはあまりにも空しくて、


  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ