それはあまりにも
□微笑
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最近は雪がちらついてきて、今も灰色の空から優しく雪が降っている。
「ありがとう。」
そんな日にマリアがいきなり僕に言ってきた。
「ありがとう?」
「うん、いつもありがとう。」
幸せそうに彼女は微笑んだ。
だから僕も幸せだった。
「どうしても言いたかったの。」
「僕は何もしてないけどね。」
「一緒にいてくれるだけで嬉しい。」
それは僕だって一緒だ。
君と一緒にいて、ただマリアが笑ってくれればいい。
「ありがとう。」
彼女は微笑んだ。
笑顔が彼女に張り付いているみたいだ。
「無理しないでくれ。」
「してないよ!」
彼女は慌てて否定したけど目が泳いでいる。
それに、なんだか泣きそうだ。
「してるじゃないか。」
「ドラコだってしてるじゃない。」
「僕はしていない。」
「じゃあ私もしてないよ、大丈夫。」
大丈夫、マリアが言ったその言葉が妙に頭に残った
大丈夫なわけないじゃないか、何が大丈夫なんだ。
そんな顔をして言われたって説得力の欠片もない。
それはあまりにも弱弱しくて、
(君はこんなにも弱いのに)