【アリスドール-another dolls-】(短編)

□Rowan
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今日は俺の友人について話をしよう。俺の友人、アリスについてだ。

こいつは普段から「女の子にモテたい!おれ、全然モテないんだけどー」と騒いでいるが、まったくモテないわけではない。ただ単にこいつが鈍いだけなのだ。


学校内で女の子が困っているところを見ると必ず声をかけて、手伝うのだ。それは意外に出来るようで出来ないことだ。それを当の本人に聞けば、「あはは、こんなの普通だって!」と言ってくる。いや、それ普通じゃないからな?お前にとって普通でも、他のヤツもそうそう出来ないからな?

しかも、こいつ、街では年寄りや子供まで助けていたりするし。それを当たり前のように助けるお前がすごいと俺は思う。てか、お前のこと見てるやつはいるぞ。…悔しいから言わないけどな。


あとアリスの周りにやたら可愛い子が集まっているのは何なの?ギャルゲーでも始まるの??義妹のリクちゃんを始め、ハルクさんとか眼帯してる子やたまによく現れてたタス何とかって子とか銀髪の子とか!羨ましいんだけど。お前、モテモテじゃん。

それをアリスに聞いてみれば…



「あー、おれ、パシリみたいなもんだよ?特にセツナとタスクさんは…。あの二人は本当に容赦してくれないから」

と、何故か遠い目を向けるアリス。過去に何かあったんだろうな。聞かないでおいてやろう。何でも聞くのが友達ってわけでもない。聞いて欲しくない時もあるからな。それにアリスなら、聞いて欲しい時は話すだろうし。



「!」

そんな話をしていたら、アリスが突然、何を見つけたのか、窓を開け始めた。そして、下を見て、大声で叫んだ。



「リゼル!!」


丁度、下を歩いていたリゼルが顔を上げる。なるほど。リゼルを見つけて、窓を開けたのか。てか、こっちを睨んでないか?なのに、アリスはお構いなく、話しかける。



「どこ行くのー?もしかして、帰るの?」

「バカ!そんなとこで声を出すな!」

「何?聞こえないー?」

「うっせーって言ってんだよ!!このバカアリス!!」


リゼル、怒ってるじゃん。てか、あれは間違いなくサボろうと帰る途中だったんだろうな。鞄持ってたし。きっとバレずに帰れると思っていただろうな。アリスに思いっきりバレたけど。



「お前、よくリゼルに普通に話しかけられるよな…」

「おれじゃなくても、話しかければ普通に話してくれるよ」


いやいや、あのリゼルがそんなわけないだろ。それはお前だから通用するだけで、他のヤツは効かないから。話しかけようとすれば、ガン飛ばして来るぞ。
リゼルももう少し睨むことをやめればいいと思うんだよな。よく見ればキレイな顔してるのに、ちょっと損してるつーか。



「リゼルは意外に押しに弱いんだよ?それに根は優しくていい子だから」

「俺的にはそう思えるお前の方がすごいわ…」


けど、あの一匹狼のリゼルもアリスに対しては、少し心を開いてるように見える。以前に比べると、雰囲気が柔らかくなったし。前は手が負えないくらいに尖ってたからな。

しかし、アリスとリゼルが話していると、必ずと言っていいほど、ハルクさんが来るんだよな。今日は珍しく来なかったけど。てか、今、ハルクさん自体が教室にいない。


あの二人は顔を合わせると、すげー言い合い始めて、それをアリスが止めるんだけど、アイツが「仲が良いねー」なんて軽く言えば、二人揃って「仲良くねーよ!」って返してるんだよな。仲悪いけど、たまに同じことをアリスに同時に言ってるから、気が合えば親友になれそうだよな。ハルクさんとリゼル。

そんなアリスの傍によくいるハルクさん。同じ年にしては、何か大人っぽいんだよな。
(※彼はハルクが二個上とは知らない)
アリスと一緒にいれば、余計にお姉さんに見える。いや、アリスが子供っぽく見えるからか?


ふと昨日の二人のやり取りを回想してみる。




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