別室


□麒麟です。
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どうも。麒麟の川島です。


突然ですが、僕には好きな奴がいます。
アホで頭悪くて天然でびっくりするぐらい素直な、玄米。
またの名を、田村裕。僕の相方です。



「たむちゃん」

「なに?」

楽屋で二人。俺は相方に声をかけた。
俺の愛しいスティックパンは、一心不乱に雑誌を読んでいる。
それもファッション誌を。大して興味があるわけでもないのに、最近俺のみに、ファッション関係の仕事が入るから、追い付こうと一生懸命なのだ。
分かりやすいなぁ。
そんなんせんでも俺が養ってやるのに。

こんなこと言うたら、コイツはどんな反応をするんやろ。


「水、買うてきて」

「なんでやねん」

すかさずツッコミを入れる相方。思った通りの反応に思わず、笑みがこぼれた。

「ええやん。買うてきてぇな」

「なんやねんもー。自分で行ったらええやんか」

なおも言うと、田村は雑誌から顔を上げ、笑った。
言葉で言うほど、嫌がってるわけではないのだ。

「じゃあ、じゃんけんで負けたら行けよ」

そんな俺に、なんでやねん、と言いながら、俺が最初はグー、と手を出すと、ばか正直に自分もグーを出してくるアホの玄米。

じゃんけんぽん!

俺はパー。田村はチョキ。

「はい!買うてこい田村」

「なんで!?俺、勝ったやん!」

え〜、ウソやろ〜!?と嘆きながらも、既に立ち上がっている田村。アホやな。可愛い子や。


「お前の分も買うてきてええで」
そう言って千円札を渡すと、

「マジで!?ありがとう!!」

もうそんだけでご機嫌。いそいそと楽屋を出て行った。

150円で機嫌がとれるなんて、安上がりにもほどがある。


しばらくして、田村が戻ってくる。

「川島ー、水なかったから、お茶買うてきた。あ、これお釣り」

田村の手の中には二本のペットボトル。田村はそれを座ってまじまじと見比べ始めた。そして。

「なぁ、川島ー」
「ん?」
「せい茶と綾ナントカとどっちがいい?」
「なんやねんそれ」
「や、だからぁ」


「…生茶と綾鷹のこと言うてんのか、もしかして?」

あっ、という表情をして黙り込む玄米。


「……おいおいおい。え?マジで?百歩譲って綾鷹は読めんとしても、生茶はさすがに読めるやろ」

「もう〜。言わんといてぇやぁ〜」

呆れ半分にちょっと意地悪な言い方をすれば、顔を覆ってじたばたする玄米。

…可愛いにもほどがある。


俺は今、決心した。
いつか、コイツを絶対に俺のもんにしたる。

そんで甘やかして、可愛がって、脳ミソ溶けるほど、愛してやる。

だから、覚悟しとけよ玄米。





あ、忘れてた。
麒麟です。(低音ボイス)




end


感想お待ちしております。

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