書籍

□告白
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最近、福ちゃんとブラマヨの小杉が仲がええ気がする。
…面白うない。
さらに言えばノンスタイルの石田とも仲がエエ。
福ちゃんは人づきあいがエエ方やし、可愛いからみんなから好かれてるんも分かる。


けど、相方としてはおもろないねん。あれ?これ相方としておもろないんやんな。それだけやんな。


なんなんやろ。この胸がジリジリする感じ。
福ちゃんは幼馴染やし、一番仲のエエ友達やから、ほかの奴と一緒にいたら腹がたつ。


この感情ってなんか嫉妬みたいやな。
俺、福ちゃんのことどう思ってるんやろ。


「なあ、福ちゃん」


「なに」

バイク雑誌を熱心に眺めている福ちゃんは顔も上げずに生返事をする。

「なんか最近石田とか小杉とかと仲エエよなぁ」


「どないしてん突然」

顔も上げず、まともに取り合おうとしない福ちゃんになんだか悲しくなってくる。


「なんなん。そんなにアイツらがエエの?相方の俺よりも?」


「なんやねんホンマに。お前に関係ないやん。俺の人間関係なんて」

なおも食い下がる俺に、うっとうしくなったのかやや邪険に福ちゃんが顔をしかめた。
その様子に半分本気で泣きが入りそうになった。


「…そんな言い方ないやん。俺、一応相方やのに…」

口を尖らせると、福ちゃんがやっと雑誌から顔をあげて俺の顔を見た。

「スネるなや。めんどくさいなホンマ」

福ちゃんがそう言って笑った。
エエなあ。福ちゃんの笑顔。

福ちゃんは笑うと急に子供っぽい顔になる。
俺はこの顔が見たくて、舞台の上でもついついアドリブを入れて福ちゃんを笑わしたくなる。
ライブの時もお客さんを笑わすより、福ちゃんを何べん笑わせられるかの方に夢中になってるときがある。

あんまりやりすぎるとマネージャーさんに怒られるんやけど。


「福ちゃん」

「なんやねんもう。お前今日変やぞ」

福ちゃんが呆れたように笑ってる。

「今度一緒に呑みに行こ」

「イヤや」

即答。

「…なんでよ?」

「だって俺、人に気ィ使うん好きやないもん。疲れるやん。一人で呑む方がエエ」

そんなん知ってるよ!?福ちゃんが一人で呑むのが好きなことくらい。でも、石田とは一緒に飲みにいったんとちゃうんけ?
相方の俺とは呑みに行かれへんのか?

「石田とは呑みにいったんやろ?なんで俺とは行かれへんの」

アカン。俺、本気で拗ねそうや。

「徳井」

「なにぃ」

「もしかして…焼きもち妬いてんの?」

福ちゃんが不意に俺の顔を覗き込んでくる。
途端に上がり始めた心拍数。
ああぁ、もう俺どうしたんやろ。

「なっ、ちゃうよ。なに言うてんの」

「そうなん?ま、エエけど。」

雑誌に目を落とす福ちゃん。伏し目なところもエエよ…。

「でもさ、徳井」

「ぅん?」

「俺とお前の仲なんやから、別に呑みに行かんでもエエんちゃう?俺が人と呑みに行くんは、なんていうか、親睦を深めるため?なんやし。どうしても一緒に飲みたいんやったら、付き合ったるから俺んちで呑も」

その言葉に沈んでいた気分が一気に浮上した。

「そうやんな。別に呑みに行くことないよな。俺らもともと仲ええんやし♪」

福ちゃんの頭をぐりぐりと撫でつける。

「うわ気持ち悪っ。なんでそんな上機嫌なん」

言葉では嫌がっているが、福ちゃんの顔は赤い。これは照れてるだけなんや。
可愛い可愛い可愛いっ!


「福」

「ぅん?」

「明日、お前んち、行ってもエエ?」

「…おう」

明日が来るんが急に楽しみになってきた。






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