書籍

□激励
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作戦D案は、夜の八時に俺の家で開始された。


部屋には俺と福ちゃん二人っきり。狭い部屋やけど、インテリアはけっこうこだわってんねん。
高くはないけど、割とセンスのええ家具チョイスやと、自分では思ってんねんけどな。

「飯、出来たで」

福ちゃんが俺んちの台所で料理を作ってくれとる。
お嫁さんみたいやなぁ。


「福ちゃん」

「ん?」

「じゃーん。日本酒!!銘柄はよく分からんけど、けっこうええやつで、割と高いやつやねん。福、日本酒好きやろ?」

効果音を付けて、派手にとりだしたのは、首のところにリボンを付けた日本酒の瓶。
福のためにわざわざ取り寄せたわりといいお酒や。
ちなみにこの酒がうまいと教えてくれたんはノンスタの石田や。

「え、これ俺のために?」

ありがとう、と照れ笑いをする福ちゃん。
早速、ふたを開けて、グラスで飲むけど、俺は福の嬉しそうな顔を眺めすぎて、よう味が分からんかった。

「うまいわぁ」

食事の合間にちょいちょい酒を飲んで福は嬉しそうに笑った。

「なあ、福ちゃん。俺、頼りないかもしれんけど、何か悩んでんねやったら相談してな。俺、福の力になりたいから」

さり気なく福ちゃんの手を握ってそう言うと、福は顔を赤くして、またさり気なくその手をはずした。

「やっぱり今日のこと一連は、お前の計画なんか?」

「…あ、バレてた?」

俺の言葉に苦笑する福ちゃん。怒ってるわけではなさそうや。
でも、なんか寂しそうな笑顔。こっちの胸が苦しくなるような。

「分かるよそんなん。どう考えてもおかしいやろ」

俺は福のそんな顔見たくないねん。福ちゃんにはいつも笑っててほしいんや。
なあ、なんでそんな顔するん?

「それやったら、直接訊くけど、何で最近元気なかったん?あの掲示板か?」

「ああ、あれ見たんか」

福ちゃんは苦笑いをして、首を振った。

「ちゃうよ。あれは確かにへこむけど、あれじゃないねん」

正直意外だった。あれが原因だと決めてかかっていたものだから、他に何が理由か分からない。

「じゃあ、なにぃ」

「徳井君、ほんまに分からへんの?」

「ぅん」

すると、福ちゃんは大きくため息をついた。
二、三回、口を開こうとしては躊躇いを繰り返して、ようやく福ちゃんは口を開いた。

「徳井君、今、お見合い話きとるやろ?」

「…あ、」

ようやく気付いたんかという顔で福ちゃんが俺を睨む。

「俺、おばさんから聞いてん。徳井もそろそろエエ歳やし、結婚するんやったらそれもエエと思うけど…」

ぼそぼそと俯いて口の中で喋る福ちゃん。
何で俺そんなことにも気がつかへんかったんやろ。
俺のアホ。

「福ちゃああぁぁん!!」

「うわあっ」

取りあえず、福ちゃんに抱きついてそのまま押し倒す。

「不安にさせてごめんな。あんなん断るに決まってるやん」

こんな結果をだれが想像したやろ。福ちゃんはこんなに俺を好きでいてくれてんねんな。

こんな幸せなことってある?
照れ屋な福ちゃんが、俺に対してこんなにも明確に独占欲を示してくれるなんて。
いっつも淡白で、クールな福ちゃんやけど、俺の思てる以上に、俺、愛されててんな。
めっちゃ嬉しい。

それやのに俺、福ちゃんのこと傷つけてしもた。
ほんまにごめんな。
もう絶対はなさへんからな。

大好きやで福ちゃん。


「…あの、徳井?そろそろ離して?」

福ちゃんが困ったような声を出すけど、俺は今、最高に幸せやねん。

「イヤ。今日はもう福ちゃんを離さへん」

俺はいっそう力を込めて福ちゃんを抱き締めた。

「俺が好きなんは福ちゃんだけやで」

耳元でそう囁いたら、福ちゃんは何も言わずに真っ赤になって頷いた。

俺の可愛い可愛い福ちゃん。
そんなイチゴみたいに赤くなったら食べてしまいたくなるやん。
そんな顔、他の奴の前で見せたらアカンからな。

「…俺も」

「え?」

「俺が好きなんも徳井だけやから」

「……っ!!」

何でそんなに嬉しいこと言うてくれんの?
いつもこれぐらい素直やったらええのにな。

俺が福ちゃんの頬に手を添えると、おずおずと福ちゃんが俺の背中に手を回してきた。
いつもより、積極的な福ちゃん。
かわええ。

「福ちゃん」

「なに」

福ちゃんの顔が間近にある。俺は福の耳元に口を近づけた。

「今度、裸エプロンして?」


ぱあぁぁん!!


俺の頬に、真っ赤になった福ちゃんから遠慮のない平手が飛んだ。

「アホか!!なんでそうなんねん!!」

もう寝る、と不貞腐れて部屋を出ていく福ちゃん。
よかった。いつもの元気が出たみたいや。

福ちゃんはそのままがええよ。
つれないのは少しさびしいけど、自然体の福ちゃんが俺は一番好きやから。

あ、でも嫌がったところで裸エプロンはさせるからな。福ちゃんに拒否権はないで。




後日――。報告会にて。


「――…そういうことで、心配おかけしましたー。まあ、なんていうか俺って愛されてるなぁって…」


「ちょお待てや。え、何?結局のろけで終わる気か?」←ブラマヨ吉田


「散々、手伝わしといてなんやねんそれ」←ブラマヨ小杉


「あーあ。余計なことしてもうた。どないしてくれんねん徳井」←紳助師匠


「徳井さん。結局すべて、兄さんの責任ですよね、今回のことって」←ノンスタ井上


「もう、帰りましょ」←ノンスタ石田

一同立ちあがり、退室。

「幸せそうな顔しやがって。地獄に落ちてまえ。このドアホ!」←ブラマヨ吉田



end

はい。なんか、キャラが崩れてきました。
管理人は大阪人なので、京都の方の関西弁がよく分かりません。
なんとなく、柔らかい感じがするよね京都の人って。
同じ関西弁なのに…。不思議だ。

色々矛盾点がありますが、あまり追及しないでください。
ちなみに、徳井さんはブラマヨと同期ですが、福田さんはNSCに通っていないので後輩になります。
小杉さんは「お前は同期や」と明言したため、福ちゃんとは同期として付き合ってますが、吉田さんはそうではないので、徳井さんが吉田と呼ぶのに対して、福ちゃんは吉田さんと呼んでいます。

福ちゃんは朝はメガトン級に機嫌悪いです。実際の話、朝の機嫌の悪さは徳井さんが怯えるほどだとか。

駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
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