頂き物&捧げ物

□頂き物  crow様より
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4限目は何事もなく終わり昼休み。

テニス部の面々は屋上で昼食をとっていた。

今日は小石川と師範は用があるようで来ていなかった。


「先輩ら遅いっすわ」

「ごめんねー」

「紗優は気にせんといてください」


紗優は、と強調しながら白石と謙也を見る。


「師範がいない!」

「紗優ちゃん、何か用があったの?」

「いや、大した用じゃないからいいんだけど…。…千歳がいる」


まるで珍しいものを見るように千歳を見て呟いた。

はっきり言って珍しいのだが。


「ひどかねー。そんなに珍しいもん見るような目でみらっれっとは思わんかったばい」

「紗優の気持ちもようわかるで。千歳がいるんはほんま珍しいしなぁ」

「白石の言う通りや!」


みんなも同じ様に思っていたようだ。

千歳は普段学校にいるのかどうかも怪しい。

学校にいたとしても屋上にくるのはすごく珍しい。

裏山で猫と戯れながら昼食をとっていることが多い。

…猫?


「あ、千歳」

「ん?なんね?」

「猫好き?」

「猫?好いとおよ」

「猫、見る?」


本当は師範に見せる予定だった携帯のフォルダに入った写真を見せる。

向かい側にいた千歳は目を輝かせながら近寄ってきた。


「むぞらしか!」

「でしょ。家の猫」

「紗優ん家の猫、飼い主ににてむぞかねー」

「何言ってるの」


むぞかー、と言いながら紗優の頭を撫でる。

千歳に可愛いと言ってもらえて満足した様子の紗優を微笑ましそうに見つめている白石と謙也。

金ちゃんは千歳に頭を撫でてもらっている紗優を見て、ワイもやってえな!、と千歳に駄々をこねている。

隣の財前がやけに静かだなと思いチラっと見てみる。

その瞬間、左側が温かいものに包まれた。


「先輩、俺の紗優さんに触らんといてください」

「…ヤキモチば妬いとおね」

「わかっとったらはよ退いてくれてもええんやないですか?」

「仕方なかね。金ちゃん、こっち来なっせ。」

「千歳ぇー!」

「光きゅんたらっ!ロックオンッ☆」

「浮気か、死なすど!」

「先輩ら、キモいっすわ」


光に抱き着かれたままの状態でどうお弁当を食べようかと考えていると右隣の蔵から、そろそろ弁当食べな時間なくなるで、と声がかかり光も渋々離れていった。

流石部長…。

金ちゃんは千歳の膝に座ったままお弁当を食べていた。

あの小さな体のどこにそんな量が入るのかというくらい大量のご飯を端から平らげていった。

各々お弁当を食べ終え昼休みをゆっくりと過ごす。

午後からの授業はなんだったかと思いながらお弁当を片付けていると腕を軽く引っ張られた。


「どうしたの?」

「なんでもないっすわ」

「そっか」


擦り寄ってきた財前を猫みたいだな、と思いながら片付けを続ける。

片付け終わってからの数十分間、みんなでまったりとしながら昼休みを過ごした。


「それじゃ、教室戻るで。千歳、午後からの授業、ちゃんと出るんやで」

「はは…、これは逃げられなさそうたい」


千歳と白石の会話を聞きながら階段を下りていく。

金ちゃんはまだ千歳から離れたくないらしくべったりとくっついたままだった。

同じく光もまだくっついたままだった。


「ほら、光。そろそろ教室だよ」

「ん…」

「また放課後、2人でに買い物行こうね」

「おん。それじゃ、授業終わったらすぐに教室迎えに行くんで待っとってくださいね」

「うん、わかった」


光と別れてから蔵と謙也と3人で教室へ向かう。

もうすぐ予鈴が鳴る頃だ。

私たちはいつも屋上に行く前に準備を済ませているため焦る必要はない。

ゆっくりと教室に向かった。

教室には授業の準備をしている生徒や自席についている生徒がほとんどだった。

そのまま何をするわけでもなく揃って自席に着き本鈴を待った。

5限、6限と普段通りに授業が行われていく。

途中眠くなりながらも寝ないように授業をうけ、現在HR。

これが終わったら買い物だ、と少しわくわくしながらHRの終わりを待った。



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