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□お泊り
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「なあ 志々尾〜」

屋上で空を眺めていると、隣にいた良守が甘えた声を上げた。

「なあってば〜」

無視すると再び甘えた声を上げる良守。
こうゆう時、良守はろくでもないことを言う。経験上からそう判断した限は無視を続けた。

「・・・・・・おい 聞いてんの?」
「・・・・・・・・・・・」
「お〜い?」
「・・・・・・・・・・・」
「志々尾〜?」
「・・・・・・・・なんだよ」

にんまりと笑う良守に、限は小さくため息をついて、顔を良守に合わせた。
いつもいつも 良守に負けてしまう。

「あのさ 明日 志々尾の家に泊まってもいい?」
「は?」
「だから、明日 志々尾の家「それはわかった。」

同じことを言おうとする良守の言葉をふさいで 言う。

「なんでいきなり・・・・」
「明日さ 利守が友達の家に泊まりに行くんだ。」
「はぁ? 何いきなり・・・」
「あいつ 俺を差し置いて 泊まるんだぜ!?」
「・・・・・・?」

話の脈略が全く分からず思わず 首を傾けた。

限のそのしぐさに、良守は 微笑み、その微笑みは不意にさびしげなものに変わったので 限はドキリとした心を隠すように、良守の目から顔をそらした。

「俺さ、夜 妖退治してるじゃん? だから泊まりで友達の家にも行けないし、寝なきゃいけないから、友達付き合いとかあんまできないし」

    あぁ   そうか

「だから・・・・」
「一回だけだぞ」
「え・・・・」

スクリと立ち上がる限を目で追う良守

「だから・・・ 一回だけだぞ」
「志々尾・・・」

顔を見せないまま、話す限の耳が赤いのを見つけ 良守は嬉しそうに笑った。

「あぁ かわいいなあ・・・」

声の質が変わったことに気づいた限は 振り返った。

「・・・・・・変なことしたら 泊まりの話は 無しだぞ」
「えぇ〜!!」
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