『花』小説2
□猫の恩返しC
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「今日、ゲーセン行かない?」
「…No, thanks.俺はいい」
「えー最近政宗すごい付き合い悪い」
「やっぱ彼女でしょ」
「そんな面倒くさいのいらねえ」
「わーかわいそ」
大学で同期の佐助と慶次に挟まれて、政宗は歩きそうにしながらコンビニの前に辿り着いた。大学のすぐ目の前に、コンビニがあるのは至極ありがたいと慶次と佐助は喜んでいる(二人と言わず、学生は皆そうだが)。
慶次が雑誌を買いに、佐助が飲み物を買いに(どうせ慶次と飲む為のアルコールだ)、政宗は特に何を見ると言うわけでもなく店内をぶらついた。そしてふと、目に留まる物が。
(あいつの好きな猫缶じゃねえか…買ってくか)
すっかり猫の事しか頭にない政宗である。僅かに積まれた猫缶を目敏く見つけた彼は、適当は数を手に取った。
「え!政宗猫飼ってんの??」
大きな声を出しながらとん、肩をぶつけてきたのは佐助だ。政宗の持っていた猫缶を一つ摘んで眺め、更に政宗の顔を無遠慮に覗き込む。政宗は少し後に仰け反った。慶次も佐助も、人と喋る時前のめりになるのが悪い癖だ(と政宗は思っている)。佐助の出した大きな声に釣られて慶次もやって来て、政宗は再度左右から押し潰される羽目になってしまった。
「嘘、政宗んち今猫いんの!」
「…Yes.」
「わーーー、彼女だって一緒に住まわせない政宗が?!」
「人間じゃなくて、猫だろ」
「え、でも政宗動物きらいとか言ってなかったっけ」
煩い二人を押しのけ、奪い返した猫缶を持ってレジに並ぶ。この後の展開を思って、政宗はやれやれと思いつつ財布を引っ張り出した。
「「今日、家行っていいでしょ!?」」