『花』小説2
□ありふれた人生E
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「へえ〜××君って、剣道部なんだ」
「Ah、腕は」
「未だ修行の身故なんとも…」
「修行って…お前いつ時代の人だよ」
「ああ、そう言えば」
「なんだい」
「あなた方は…これは失礼かもしれませぬが」
「何だよ」
「随分変わった名前で、お互いを呼び合っているのですね」
「ああ、慶次とか、政宗とかって事?」
「…はい。歴史が好きな…その、集まりかと」
「ぶっ!」
「いや、そんな高尚な集まりじゃないよ。ただ、」
「ただ?」
「呼び名なんだよ、」
「はあ、」
「…ほら、腕っ節が立つ武将ばっかりでしょ?みんな運動部だから」
「なるほど…!それで自分自身を向上させる為の励みになさっているのか!」
「(…Ah…慶次、変な事吹き込むなよ。この馬鹿本気にしてんぞ)」
「(いいじゃん、理解できる理由ならなんでも。俺らが呼び合っている時点で、これから先絶対疑問に思うだろ?)」
「(…まあ)」
「そういう訳でさ、××君も何か呼び名付けない?」
「え?」
「誰かいない?こう、気に入ってる武将の名前とか。名人でもいいけど」
「そうでござるな…、」
「また戯けた事を…」
「まーいいじゃねえか元就。ついでだ、ついで」
「…あ、」
「何か思いついた?」
「先程、×××殿に言われた名を思い出して」
「…」
「(…記憶は無くとも…偶然か?それとも、)」
「あの武将の話はおとぎ話にもなっていてよく先生が、」
「(旦那やめて、)」
「尊敬すべき精神を貫いた武将だと、」
「(旦那の振りなんてしないで)」
「…真田、幸村。…幸村と、あなた方と会う時には名乗ることに致しましょうか」
幸村の真摯な表情に、その場にいた誰もが『あの時』の彼を見た。
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