『花』小説2

□ありふれた人生E
4ページ/4ページ







「へえ〜××君って、剣道部なんだ」

「Ah、腕は」

「未だ修行の身故なんとも…」

「修行って…お前いつ時代の人だよ」

「ああ、そう言えば」

「なんだい」

「あなた方は…これは失礼かもしれませぬが」

「何だよ」

「随分変わった名前で、お互いを呼び合っているのですね」

「ああ、慶次とか、政宗とかって事?」

「…はい。歴史が好きな…その、集まりかと」

「ぶっ!」

「いや、そんな高尚な集まりじゃないよ。ただ、」

「ただ?」

「呼び名なんだよ、」

「はあ、」

「…ほら、腕っ節が立つ武将ばっかりでしょ?みんな運動部だから」

「なるほど…!それで自分自身を向上させる為の励みになさっているのか!」

「(…Ah…慶次、変な事吹き込むなよ。この馬鹿本気にしてんぞ)」

「(いいじゃん、理解できる理由ならなんでも。俺らが呼び合っている時点で、これから先絶対疑問に思うだろ?)」

「(…まあ)」

「そういう訳でさ、××君も何か呼び名付けない?」

「え?」

「誰かいない?こう、気に入ってる武将の名前とか。名人でもいいけど」

「そうでござるな…、」

「また戯けた事を…」

「まーいいじゃねえか元就。ついでだ、ついで」

「…あ、」

「何か思いついた?」

「先程、×××殿に言われた名を思い出して」

「…」

「(…記憶は無くとも…偶然か?それとも、)」

「あの武将の話はおとぎ話にもなっていてよく先生が、」

「(旦那やめて、)」

「尊敬すべき精神を貫いた武将だと、」

「(旦那の振りなんてしないで)」



「…真田、幸村。…幸村と、あなた方と会う時には名乗ることに致しましょうか」





幸村の真摯な表情に、その場にいた誰もが『あの時』の彼を見た。


to be continue


前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ