『花』小説2
□モンハンパロ
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ユクモ村に滞在したり、臨時的に集まったりするハンター達の中には、所謂“人気者”とされる者達がいる。まず女性ハンターでは、かすがや孫一と名乗るハンターが人気だ(かすがは双剣使い、孫一はガンナーである)。女性ハンターは数が少なく、またそれに見合ってファンもそこまで大勢と言ったわけではない。特に人気なのは、やはり人数も桁違いの男性ハンターだろう。
男性ハンターの人気者。誰もが名前を知っているハンターと言えば、太刀六刀使いの伊達政宗という隻眼の男だろうか。
「Hey、真田幸村。ベリオ狩りに行こうぜベリオ」
「構いませぬが…ベリオロスくらい政宗殿ならば一人で何ともないでしょう」
「二人に越したことはねえだろ」
「…まあ、確かに」
木陰で静かに武器の手入れをしていた幸村に、政宗は何気なしに声をかけた。幸村もまた、人気者と呼ばれるハンターの一人である。政宗ほど飛び抜けてはいないが、ほぼ変わらない人気を誇っていた。
政宗は全身ジンオウガと呼ばれる雷属性のモンスターの装備を身につけている。刀も全て雷…と言いたい所だが、狩るモンスターによって奮う武器属性は変えているようだ。細かい属性変換をする政宗とは違い、幸村は炎属性一徹の男である。政宗がベリオロスというモンスター討伐に誘ったのも、その狩りが炎属性に弱いと分かっているからだ。
幸村は武器を纏めて立ちあがり、政宗と一緒に並んで集会所への道を辿る。二人が並んでいるのを見て、村の若い娘のみならず、女性という女性が耳打ちしたり顔を赤めたりして浮ついていた。
政宗と幸村が集会所にたどり着くと、先にいたらしい佐助と出くわした。何やら今から採集クエストに行くらしい。
「あれ、旦那たち一緒に狩りに行くの?」
「ああ。政宗殿がベリオロスに行くと」
「はは〜ん。竜の旦那、一人じゃ氷属性は手に負えないって?」
「Ah?一人より二人の方が楽なんだよ。そういうお前は採集か」
「珍しいな。お前が採集のみの仕事を引き受けるとは」
「うん。あの人と一緒に火山行くんだ」
「…oh…そりゃ、いい運び手が捕まったな」
「でしょ」
佐助が指差した方向に、集会所の奥で静かに待機する一人のハンターがいる。名前を風魔小太郎、彼は運び屋として有名だった。自身で狩りに行くというよりも、主に狩られたモンスターや難易度の高い採集をこなし依頼主に届ける。佐助が良い運び主と言ったのはその所為で、彼と一緒に普段はあまり行けないような箇所を回ってしこたま珍しいアイテムを入手するつもりだ。幸村の食費がかさむ〜〜と普段から嘆いている彼の、涙ぐましい努力…だそうだ。
「まあお互い頑張ろうって事で。またね旦那達」
「ああ。あ…佐助、夕飯には」
「帰るって。旦那の好きなポポ狩ってきてあげるよ」
「…お前ら、相変わらず夫婦みたいなハンターだな」
ちなみに、佐助も小太郎も人気のハンターである。特に佐助は、政宗と幸村の次くらいには人気のハンターかもしれない。
佐助を見送った後、政宗と幸村は狩り前の入浴だと張り切って温泉に浸かったのだった。
おしまい
つづく