『花』小説2
□モンハンパロ
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狩りに行く前にまず温泉。ハンターになってからのお馴染みの行為、幸村はお供の真っ赤なアイルーを連れて風呂場へと訪れた。赤いアイルーの名前は紅虎(べにこ)性格は勇敢で大型モンスター優先で突撃する飼い主そっくりの元気な猫である。
今日のクエストは、採掘をメインにクエストをこなしているハンターからの頼み事だった。火山に新しく巣を張ったという火竜…アグナコトルを討伐してくれというものである。報酬が鉱石や宝石の類なので、素材集めに勤しむ幸村としては非常にありがたい。
風呂にも浸かったしドリンクも飲んだし、やれ紅虎をつれクエストに行こうかと行った所、不意に佐助に声を掛けてくる男があった。
「旦那、アグナ行くんだって?」
「おお、佐助」
「俺様も連れてってよ」
佐助、と呼ばれたハンターは幸村の相方と呼べるような存在だった。幸村は太刀を扱う剣士タイプのハンターだが、佐助はボーガン系の銃器を扱うガンナーである。幸村がこてこての重装備を身につける中、佐助は動きやすそうな身軽な格好だった。
ちなみに二人の装備を説明しておくと、幸村は全身レウス装備で固めているので赤く目立つ格好である。“レウス”とはリオレウスという、赤い火竜だ。
佐助はナルガクルガという迅竜から作った装備で、全身緑を帯びた黒っぽい格好。どこか忍を思わせるような格好でもある。佐助のお供アイルーは暗虎(あんこ)という迷彩模様のバランス派のスマートな猫だ。
「…お前、その装備は女性物だろう」
「だってこっちのが俺様に似合うっしょ?」
「…」
ひらり、回って見せた佐助に幸村が小さく溜息を吐く。腕は確かなのだが、佐助はとても風変わりな男であった。
クエストに一人追加して申請し直し、二人揃ってクエスト出発の準備を整える。今度こそ行こうと荷物を背負うと、丁度今帰還したばかりのハンター二人に出くわした。木組みの大きな荷車の上に、はみ出す勢いの大きなモンスターが縛り付けてある。
「政宗殿!今日はまた大きな獲物でござるな、」
「Ah…まだもう一匹いるんだぜ、ジョー二匹たあ流石に骨が折れた。なあ、小十郎」
「流石に疲れましたな。お前達は今から狩猟か?」
「うん、旦那とアグナ狩りに」
「へえ?幸村、ならついでに紅蓮石とってきてくれよ」
「個数は」
「50個」
「…」
今日もハンター達の狩りは順調に行われている様子である。
おしまい
でもつづく〜