『花』小説2

□ありふれた人生H
1ページ/4ページ







よく、赤い夢を見る。

…否、それが赤なのか、本当の事はよく分からない。

ただ、そんな気がする。目を覚ますと、赤の残像がずっと目の前をちらつく朝があるから。

よくみる夢の内容は、覚えていない。

…否、内容があったのかどうかも定かではない。

けれど、こびり付いた赤い色と一緒に、どこか懐かしいような、切ないような、悲しい鳴き声のような。

誰かの、声が響いているような…そんな気がする。


不思議な夢を見る。

だがそれは些細な疑問で、布団から抜け出せば掻き消える、儚い夢の残像だった。







次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ