【DB小説】ピッコロさんは俺の嫁!
□エピソード9 【俺、実は宇宙人なんです。】
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「観念しろ架音。わざわざこの俺様が熱が下がるまで我慢してやったんだ。もういいだろう。」
己の腕から逃れようと必死に抵抗する架音の肩を強引に押さえつけるピッコロ。
「ダメっ・・・ピッコロさっ・・・こんなところじゃ恥ずかしい///それに皆も見てる・・・・・」
顔を赤らめて俯く架音。
そんな架音にギリッと唇を噛み締め、肩を震わすピッコロ。
その額には血管が浮き上がって・・・
「いい加減にしやがれ!!何度そのふざけたノリをすれば気が済むんだ貴様は!?」
二度目のこのノリにキレるピッコロ。
怒ってちゃぶ台をひっくり返す頑固親父が如きキレっぷりである。
一方の架音はまだふざけている。
「あぁっ・・そ、そんな乱暴にっ///・・・・・・あ、すみません。冗談です。ホント、ごめんなさい。マジで調子に乗ってました。だから、あの・・・魔貫光殺法はやめて下さい!?(焦り)」
さすがに死にますから!?
と、顔を真っ青にして叫ぶ架音。
余計なことをして無駄に怒らせてしまったようだ。
そして響く断末魔。
「何してるんでしょうね。あの人達は・・・・・」
「さぁ。でも家を壊すのだけは許さないから。(怒)」
架音達の意味不明なやりとりを白い目をして見るクリリンと頬に怒りマークを浮かべて怒っているブルマ。
他の者もだいたいそんな感じである。
−今、架音はブルマ宅の庭にて、ブルマ達にこの間の事態について質問攻めを受けていた。
今では、架音の体調も良くなり。
そして今日、そろそろ修行に戻ろうかと思い出掛けようとしたところをブルマ達に捕まり、現在に至る。
「架音ちゃーん。いい加減観念なさい。喋らないんじゃ、いつまで経っても先に進まないでしょー?」
机に座って紅茶を飲みながら、ピッコロに殺されかけている架音に呼びかけるブルマ。
「てか、ブルマさん卑怯ですよ!!何でピッコロさん達がいるんですか!?」
涙目で訴える架音。
そしてとうとうピッコロに捕まってしまった。
「あら、架音ちゃんが会いたがってたから呼んであげたんじゃない。」
この間のことについて聞けば架音が逃げようとすることなど分かっていたブルマは予めピッコロ達を呼んでおいたのだった。
そんなことをせずとも、ピッコロ達のもとへ修行に行けば結局、今と同じような状態になっていただろうが。
「それともべジータの方が良かった?」
にっこりと笑うブルマ。
「いえ、ピッコロさん達を呼んでくれたその優しさに感謝します。」
ブルマの笑顔に怯えながら、真っ青な顔で頭を下げる。
「それに、こんな風にしてくれなくても。皆さんにはいずれきちんと話すつもりでしたよ。」
下に俯いて呟くように言う架音。
ちなみに今、架音はまるで拷問用のようなゴツイ椅子に太い鎖で縛り付けられ。
これでもかというほど頑丈に拘束されていた。
(それにしても、凄い格好ね・・・・・)
架音の状態を見て、ここまでしなくても。と思う面々であった。
「なら、今話してくれても・・・」
「でもまだ決心がつかなくて。自分の中でもゴチャゴチャしてんのに。人に説明なんて・・・・・」
苦しそうに呟く架音の体は、まるで怯えているかのように震えていた。
考えがまとまっていないのも事実だが、それ以上に架音は強く思っていることがあった。
(もし俺が本当のことを話したら・・・・・)
「貴様の下らん心配など、こいつ等の前では唯の杞憂に過ぎん。」
「え・・・」
架音が言葉を心の中で呟くよりも先に、それに気づいたかのように忠告するピッコロ。
その言葉に目を見開いて驚く架音。
「たとえお前が何者であろうとも、こいつ等ならきっと、お前を拒絶したりなどしない。」
「!」
もう逃げ出さないと思ったのだろうか。
架音の拘束を解くピッコロ。
不思議そうな顔をしてじっとしている架音。
「当たり前でしょ!」
真剣な顔をして机をバンと叩くブルマ。
それに続けて他の者もピッコロに強く同意する。
「そうだぜ。実は人造人間でしたとか言われても・・・・あ、それはちょっと・・・」
「フン。もし人造人間だなどと抜かしやがったら、このべジータ様が即刻始末してやるだけだ。」
「ちょっとアンタ話ちゃんと聞いてた!?今は架音ちゃんが何者でも受け入れるのは当然のことって言ってるのよ!!」
「とりあえず話してみるんだな。」
「ピッコロさんは・・・」
俯いて震える手でピッコロのマントをぎゅっと掴む架音。
「?」
「ピッコロさんは俺を拒絶したりしませんか?」
「俺はもともと拒絶以外したことがないだろうが。」
「ゔ……」
何を今更、といった様子でキッパリ言い捨てるピッコロにグサッとくる架音。
凹んでいる架音に尻目に、だが…と続けるピッコロ。
「仲間だと思っていた者のことを何も知らないでいる方が辛いだろう。」
架音の頭にポンと手をのせ、優しく言うピッコロ。
「はい・・・・・」
その言葉と暖かさに溢れ出そうになる涙を、きゅっと唇を噛み締め我慢する。
そんな架音を見て溜息を着く彼らの顔はとても優しいものだった。