ぬら孫Long dream
□赤と黄色と私A
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ガキンッ
刃のぶつかり合う音が捩眼山に響く。
「うらぁっ!」
「くぅ…」
ギリギリギリ…
鍔迫り合いをするせいで二人の刀から痛々しい音がする。
「ぅ…ぅあっ!」
力で押し負けた煌は後方へよろめく。
その瞬間を牛頭丸は見のがさずに追い撃ちをかける。
「油断すんじゃ…ねぇよっ!」
「きゃあっ」
キィィン…
牛頭丸は煌の刀を弾き飛ばした。
「まただぁ…
私ホントにダメだねー…」
「いや、でもよ
お前の飲み込みの早さは尋常じゃねぇぞ… 」
少し怯えるように言う牛頭丸。
「ほんとっ、きーちゃん凄いよ!
たった数日で牛頭丸と
鍔ぜり合いまで持ち込めるようになるんだもん 」
「まぁ、父様が私に拳技を教えたのはそのためだからね…
でも…こんなんじゃダメだ 」
吹き飛ばされた刀を拾い構え直す煌。
「牛頭、もう一回お願いします!」
「おぅ…いくぜぇ!」
ガキィン!
「わぁ〜、二人とも頑張れ〜 」
「つ、疲れた…」
つい先刻、昼餉を食べたばかりだというのにどっぷりと疲れを見せる煌。
「お前、午前中に無理しすぎたろー…」
「昼餉食べた後だから、少し休もうか?きーちゃん辛そうだし…」
「こんなの…いつもだから気にしないで…
ごめんね、私は大丈夫だから 」
「バーカ、こんな
ふらっふらのヤツと戦っても意味ねーだろ 」
「…ゴメン
じゃあ、少し休ませて…… 」
その場にへたり込む煌の隣に馬頭丸は一緒に座る。
「お前、基本とかはもう完璧だし、刀ばっかりじゃあ飽きるしなぁ
…よしっ、午後からはお互い手加減無しでで勝負しようぜっ 」
「ん、どういう事? 」
「刀だけじゃなくて技とか使ってやろうって事だよ
でも、牛頭丸は興奮すると大変だからきーちゃん気をつけてね…? 」
困ったように笑う馬頭丸。
「…じゃあ、二人には私の力を
初のお披露目ってワケだねっ 」
「僕スッゴい楽しみっ
天飾りの戦うところ初めて見るんだ〜 」
「ハハッ、あんまり他の妖怪と変わらないと思うんだけどなー… 」
煌は急に自信を無くしたように苦笑する。
「まっ、それはやってみてからのお楽しみってヤツだろ 」
「そうだね
っと、私はもう大丈夫だから
そろそろ始めようか? 」
そう言って煌は立ち上がる。
「きーちゃん、本当に大丈夫? 」
心配そうに煌を見遣る
馬頭丸。
「うんっ、大丈夫
私が体力ないだけだから… 」
煌はあからさまに しゅんとする。
「ほーらっ
しょげてねぇで早く始めんぞ 」
もうすでに刀を鞘から抜いている牛頭丸。
「ぁっ、待たせてごめんね牛頭
それじゃあ……いくよっ!!」
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