+第2回 アンケートSS+<book>

□チョコより甘いキスをして
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甘々なら何でも良いです♪
63様

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□チョコより甘いキスをして









「邪魔するぞ」

「グレイ?どうしたの?」



軽いノック音に続いて現れた姿に、ルーシィは読んでいた本をぱたんと閉じる。

今日はチームで仕事に行き、少し前まではギルドで一緒に騒いでいたけれど。

“もう帰る”と先に姿を消したのは、グレイだったハズだ。



「すまねぇな、突然」

「それは別に構わないけど」



グレイから向けられる笑顔に、自然とルーシィの頬が緩む。

本当は少し。―…ほんの少しだけ。

あっさり1人で帰ってしまったグレイに、寂しいと感じていたから。



「何かあった?」



体が触れてしまいそうな程、近くまで迫ったグレイの気配。

その表情を確かめようと顔を上げた瞬間。



「………んっ、グレ…」

「…黙って」

「そん…、ふっ……」



覆い被さってきた漆黒の髪を、縋る様に掻き乱す。

背中に回された腕はがっしりと逞しく体を抱き留めて離さず。

ルーシィは重ねられた唇の熱さに、喘いだ。



「―…どう、……は…っ」



角度を変え、深さを変え。

少し離れたと思えば、また押し付けられるグレイの唇。

グレイの腕がまさぐる様にルーシィの背中を動き回り。

まるでそのまま押し潰されてしまうのではないかとさえ、思えて。



―…いや。

押し潰されるというより。

2人の肉体の境界線が、融けて混ざり合ってしまうという方が、近い。



「……は、…んー……」

「…ルーシィ―…」



少しだけ逃げるように引かれた唇を追いかけ。

逃がさないとばかりに押し付ける。

そして、長い長い口付けの後、ゆっくりとグレイが顔を離した。



「…すまねぇ」



こつんと額をあわせて探るようにルーシィへと視線を向ける。

返されたのは、蕩けたようにグレイを見つめる琥珀の瞳。

艶やかな色を隠そうとしない綺麗な目に、グレイはどこか安心したようにふっと息を吐き出した。



「どうした、の…?」



少しだけ不安そうに見上げてくる瞳。

“らしくない”行動に、落ち着かないのだろうという事ぐらい気付いてはいたが。

でも、この気持ちを上手く伝える事なんか出来ない。

―…無性に、その唇の甘さを味わいたくなったから。なんて。



「何でもねぇ」



気にするな、とその金糸の髪を手で掬い上げる。

さらりと指の間を通り抜ける心地よさに、思わずそっとソレに口付けて。



「…どうした?」



ぴん、と引っ張られた服の裾へ視線を向ける。

掴んで離そうとしないルーシィの顔は俯き、見えないけれど。

必死に伝えようとしているその指先が愛おしくて。



そっと手を重ね、指を開き、服から外して指を絡ませる。

ルーシィの指先がグレイの甲を辿り、感触を確かめるように滑るのを視界の隅に捕らえながら。

グレイもまた、その指先を滑らせ味わう。

ゆっくりと顔を上げたルーシィが、ふるりと僅かに体を震わせた。



「―…私も、ね」

「ん?」



恥ずかしそうに、少しだけ目を伏せて。



「…キス、したかったんだよ?」



鮮やかなピンク色に染まった頬と、落とされた吐息。

ルーシィからの告白に、グレイは一瞬だけ目を見開き。

そして、より深くその唇を重ね合わせたのだった。

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2011.05.13

63様のアンケートコメントより。

甘々という私にとって一番の強敵でございましたが。

いかがでしょうか?甘い…ですかね…?

私はこれが限界です…!しくしく。


アンケートに参加して下さり、ありがとうございました!

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