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□光彩陸離
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キラキラ輝く金平糖。
まるで君のようだと言ったら、笑うだろうか。
◆光彩陸離(こうさいりくり)◆
(グレイ×ルーシィ)
カラカラと、ガラスの瓶の中身を揺らす。
透かして見れば、外からの光をキラキラと反射してとても綺麗だ。
「何見てるの?グレイ」
不思議そうに覗き込んでくるルーシィ。
俺は見ていた物を彼女の方へ差し出した。
「あぁっ、金平糖?懐かしい〜」
手のひらにすっぽり収まってしまうほどの小さな小瓶に入った、色とりどりの金平糖。
今日、何気なくギルドへ向かう途中で目に付いて買ってしまった物。
特に甘いものが食べたかった訳ではない。
ただ―…。
「グレイが甘いお菓子持ってるなんて珍しいわね。好きなの?金平糖」
「いや…。好きな訳ではないんだが」
店先に並べられていた小瓶。
いつもならば、通り過ぎてしまうような物で。
ソレを手に取ることも、ましてや買うことなんて絶対にないのに。
「食べるの?ソレ」
「そういうつもりはないが…」
「好きでもないうえに食べるつもりもなくて買ったの?」
「あぁ…」
“変なグレイ〜”…なんて少し呆れたような顔をするルーシィ。
なぜかと問われれば、本当に困ってしまう。
ただ何となく…としか答えられないから。
何が気になったのか、自分でも分からない。
「ねぇねぇ。食べないのなら私に頂戴」
「別に欲しい訳じゃないから」…と、差し出してきたルーシィの手に、金平糖の瓶を乗せる。
ルーシィは俺がしていた様に、その小瓶を光に翳した。
「わぁ〜、綺麗ねぇ…」
キラキラ光る金平糖。
その横には、嬉しそうな彼女の笑顔。
―…あぁ、そうか。
「なぁに?突然笑ったりして。子供だと思ってるんでしょ!」
自分が笑われたと思ったのか、ルーシィがぷうっとむくれる。
「違うさ。何となく、買った訳が分かったんだよ」
「何よ?」
「ナイショ」
“何ソレー”なんて、信じてない顔でグレイを見つめるルーシィ。
「本当に、子供っぽくて可愛いな、なんて思ってないさ」
「やっぱり思ってるー!!」
「あはははは」
拳を降り下ろそうとするルーシィを避けながら、グレイは笑う。
金平糖と彼女を見ながら。
キラキラ光る金平糖。
色とりどりのその粒は。
転がせば、思い思いの場所へ転がっていく。
小さくて丸く可愛い金平糖。
光を通せば、その体を通して色鮮やかな光を生み出す。
―…そう、まるで彼女のように。
「グレイなんか、もう知らないっ!」
次々と色を変える彼女の、周りに溢れる色とりどりの光。
その光は、目が眩むほど綺麗で。
「まぁまぁ、そう怒るなって。本当の事を言われたからって」
「子供じゃないー!!」
彼女がいる場所に、鮮やかな色をつける。
彼女自身が、金平糖のよう。
「可愛いって言ってるんだからいいじゃないか」
「良くないっ!!」
キラキラ光る金平糖。
叶うならば、いつまでも俺の隣に。
彼女の手の小瓶を見ながら、そっと願った。
■意 味:美しい光がまばゆい様子。光が入り乱れて美しく輝くさま。
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2010.10.21
甘い。砂糖菓子のように甘い。
金平糖を何気なく思い出した時に頭に浮かんだネタ。
金平糖ってあまり食べませんが、見ると可愛くて綺麗で好きです。
グレイが乙女でごめんなさい。(笑)