Main<book>
□海誓山盟
1ページ/1ページ
『好きな人が幸せならばそれでいい』
なんて、ただの偽善だと、思う。
◆海誓山盟(かいせいさんめい)◆
(ルーシィ×誰か←ロキ)
君が笑う。
君が泣く。
君が怒る。
君の全ては、彼のもの。
でも、僕ならば。
彼女を泣かせたりしない。
彼女から笑顔を奪ったりしない。
だから、諦めたつもりでいても。
どこかでまだ“想い”がくすぶっていた。
樹の下でひとり泣く、彼女。
「ルーシィ」
「…レオ」
星霊であるがゆえの、特権。
オーナーがどこにいようと、その隣に辿り着ける力。
(勝手にゲートをくぐっていいのかは甚だ疑問だが)
「…どうしたんだい?」
泣いている原因なんて、知っているけど。
「僕が隣にいるから」
アイツは、君がここで泣いているなんて、思ってすらいない。
「僕と一緒にいようよ」
ずっと、ずっと。この先も、2人で。
“なにそれ、プロポーズ?”
くすくすと笑うルーシィ。
赤く腫れた瞳が、少しだけ細くなって。
あぁ、泣き顔も可愛いね…なんて。
こんな事考えてる時じゃないのに。
僕は本気だよ。ルーシィ。
君を、アイツになんか渡さない。
思わず口から言葉が出そうになる、けど。
「ルーシィ!!」
見計らったように、ナイトの登場。
僕のお役目もここでオシマイ。
悔しいけど、ルーシィを抱き締めるのは…アイツの特権。
「さて、お邪魔な星霊は退散しますか」
君が彼に抱き締められて笑う姿なんて、見たくないから。
―…僕のものになればいいのに。
僕のものになれば。
捻ねくれ者の無神経な言葉に傷付いて、
ひとりギルドを飛び出すなんて事もないし。
相手の気持ちが掴めず、不安にかられて苦しむ事も。
ひとり人目につかない場所で泣くことも。
絶対に、ないのに。
“相手が幸せなら、それでいい”
そんなのはただの偽善だと、思っていた。
でも。
僕は君をアイツから奪えない。
君の泣き顔を見たくないから。
偽善者だと笑われるかな。
でも、今の君には“コレ”が最良の選択だろう?
だから、仕方ないんだ。
僕が唯一望むもの。
―…君の笑顔を、守る為に。
僕の想いは封印して。
君の幸せを願う。
この胸は張り裂けそうに痛くて。
涙も出そうだけど。
君の笑顔が見られるのなら、我慢するのも悪くはない。
君が幸せならば。
僕は、何も望まないから。
『愛してるよ、ルーシィ』
伝える事はないけど。
思いは変わらないから。
たとえ君と違う世界にいても、僕は願う。
君の、笑顔を。
■意 味:愛情が海や山のようにいつまでも変わらないことを誓う言葉。固く愛を誓うこと。
********************
2010.10.17
siho様のキリバンリクエスト、グレイ×ルーシィ←ロキの初稿。
全く別物ですね…。
こちらを先に書いて、後ほどもうひとつの方を書きました。
もしsiho様がこちらもご希望でしたら、ご自由にお持ち帰り下さいませ。