お題<book> 1

□好き
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「ごめんね、ルーシィ」



まず最初に言わなきゃいけないこと。

ただのヤキモチで、ルーシィをわざと傷つけた事。



「ごめん」



きゅっと抱き締めたその体は。

ほんの少しだけ、震えている。

泣いているのかもしれない。



「本心じゃ、ないから」



あんな事、したくてしてた訳じゃない。

ルーシィに気にかけて欲しくて。

ルーシィに振り向いて欲しくて。

ただ駄々をこねただけ。



「許してくれる…?」



胸に顔を埋めて、上げようとしないルーシィ。

段々、不安が募る。

許してくれないのだろうか。

まだ怒っているのだろうか。

それとも。

呆れて物もいえないのだろうか。



無言の空白が、怖い。



いつからこんな臆病になったんだろう。

来るもの拒まず、去るもの追わず。

ずっと、そうやってきたのに。

(星霊として命が尽きかけていたのもあるけど)



それが、ルーシィと出会ってから変わった。

手放せないと思った。

離れる事なんて、考えたくもないと。



臆病になったんだ。



だから、正面切って言う事もできず。

でも、不安を消す事もできなくて。

ルーシィの様子を窺うような真似をして。



ルーシィを、傷つけて。



今なら、どれだけ愚かだったのか分かる。

気付くのが遅かったかもしれないけど。

絶対に、ルーシィの傍にいたいから。



「ねぇ、ルーシィ」



その金糸に、頬を寄せる。



「僕の事、一番に好き…?」



抱き締めていた胸を、どんっと押された。

2度、3度。

両手で何度も何度も叩かれる。



「…っ、ロキの、馬鹿っ」



やっと上げてくれた顔は、やっぱり涙目で。

そうさせたのが自分だと思うと、胸が痛む。



「ごめん…」



そっと、髪を梳く。

サラサラと流れる気持ち良い手触りの髪。

僕の大好きなルーシィの髪。



「本当に、嫌だったんだからね…っ」



ぽかぽかと殴り続けるルーシィ。

殴られながら、ちょっと幸せを感じる。

ルーシィの目には、僕しか写っていないから。



「もう絶対にしない。本当にごめん」





「…ん」

小さく返ってきた了承の返事。

約束代わりに、その額にキスを落として。

ルーシィの笑顔を、思い切り抱き締めた。





※好き / 君が好きだということ





「ねぇ、ルーシィ」

「なに?」

「たまには、僕の事も構ってね」

「ばっ…なにを…っ」

言いかけた言葉を止めて。



「たまには、じゃないよ」

“いつでも、ロキの事が一番だよ”




―…そっと、優しい笑顔で微笑んだ。

********************

2010.11.09

殴られて喜ぶロキは間違いなくMだと…っ

あぁ、ごめんなさい殴らないで。

バカップルの痴話喧嘩万歳。

前のグレイの話で力尽きました…。ビバグレイ!!←

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