お題<book> 1

□そしてふたりは、
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「ねー、ルーシィ」

「…何?」

「キス、してもいい?」

「…っな!」

「だめ?」

「だ…だ、だめじゃないけどっ、で、ででもっ」

「かーわいぃっ、ルーシィってば照れてる?」

「そ…っ、そんな訳ないじゃないっ!!」

「じゃあー…、OK?」

「うっ」



『こんな時にそんな表情、ズルイ…』なんて呟く顔は真っ赤で。

ふわっと優しく微笑みながら、レオはそっとルーシィの頬に両手を添える。

ぎゅっと力の限り目を閉じてぷるぷるしてるその姿を見てると、子犬座のニコラの姿がダブる。



…なんて言ったら、間違いなくがつんと殴られちゃうなぁ。



レオは心の中でひとり呟くと、そっと静かに唇を重ねた。

やっと手に入れた、ルーシィの唇。

甘い、甘ぁい、彼女の香り。

何故だかふいに涙がこみ上げてきて、慌ててルーシィの肩口に顔を埋めた。



「…レオ?」



みっともなくて、さすがに必死で泣き声は堪えたけど。

今、口を開いたら泣いている事がバレてしまうから。

レオは無言でぎゅっとルーシィの体を抱き締めた。



「どうしたの…?」



ごめんね、ルーシィ。

こんな格好悪い姿、君にだけは知られたくないから。



早く涙が引っ込んでくれるようにと、強く強く、レオはルーシィを抱き締める。

そんなレオを知ってか知らずか…。

そっとその背中に回された、2本の腕。

まるで“よしよし”をするようにゆっくりとレオの背中を撫でる。

耐え切れなくなったレオの。



「…っ!ル…シィっ……!!」



そんな泣き声も全て受け止めようとするかのように、ルーシィは強く彼の背中を掻き抱いた。

彼女の双眸に浮かぶのも、透明な雫。

とても穏やかなその表情は…お互いの想いが通じた証。





※そしてふたりは、※





『ルーシィ。僕は』



誰よりも君が好きで、誰よりも大切で。

それは君がオーナーだからとか僕が星霊だからとかではなく。

ひとりの“個”として。

この世界にたったひとりの君が、大好きで。

たとえ君が僕をただの“星霊”だと言っても、この想いは変わらない。



『誰よりも、何よりも、君を、…愛してる』



『わ…わたしは…っ!!』



真っ赤になりながらも、視線を逸らさずに見つめ返してくれるその意味は。

都合よく捉えても、いいんだよね?



恋焦がれた彼女の体を引き寄せ、抱き締める。






これが、夢でありませんようにと、祈って。





********************

2010.10.15

レオ登場→喧嘩→告白→ルーシィ告白→いちゃいちゃ。

…のくだりを考えていたものの、ぐだぐだになるので割愛。

次のテーマでいきなり反転するので、急遽増やしたネタ。

軽く短い話の予定が、やっぱり重く…。

あんぎゃーーー。

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