お題<book> 1

□弱い私なら愛してくれた?
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星霊アリエス。

誰が見ても可愛くて。

女の私から見ても、可愛くて。

だから、みんなから愛されても当然なんだと、目を伏せた。

笑おうとした唇が歪んだのを、誰も知らない。



※弱い私なら愛してくれた?※



前契約者に苦しんだ2人の星霊。

ロキ…いや、レオとアリエス。

他の星霊にはない、星霊同士の結びつきが強い2人。

「アリエスが…」

「レオが…」

2人の口からそれぞれの名前が出る時、本当に楽しそうで。

羨ましいなぁって思う。

いつもなら、微笑ましいなって一緒に笑えるのに。



「ルーシィ、どうしたの?」

ひょい、っと顔を覗き込んできたロキの、表情が曇る。

「な、なに?ロキ。ごめん、ちょっとボーっとしてた」

あははは、徹夜で小説書いてたから寝不足かな?と手をパタパタして誤魔化し笑い。

でも、ロキはじっと覗き込んだまま笑わない。

見つめ続けられる事と嘘をつくバツの悪さから、段々とその笑いは消えていく。

「…幸せそうで、いいなぁ…」

ぽつりと呟いた。

「…ルーシィ?」

「こんな意地っ張り…可愛くないよね…」

(アイツも、きっと)

氷の魔導士とぎゃーぎゃー騒いでる桜色の髪の毛。

ギルドの中だというのに、お互い構わずに掴み殴りぶっ飛ばしの大乱闘。

いいぞーやれー!なんてけしかける周りの声援。

笑顔に囲まれたその中には、何故だか気後れして入れない。

「ルーシィは可愛いよ。僕が保証する」

にっこりと優しい笑顔を浮かべて、頭をぽんぽんと軽く叩かれる。

「…みんなにそう言ってるんでしょ?」

「やだなぁ、ルーシィ以外は本気じゃないよ?」

「嘘ばっかり」

ふうっと、つい、ため息が出る。

(アリエスだけが本気のくせに)

「星霊はオーナーに嘘つかないよ?」

「…嘘つく星霊もいるのね」

「ルーシィ」

手厳しいなぁ、とロキが軽く笑う。

「どうして、意地っ張りで可愛くないなんて思うの?誰かにそう言われたの?」

「そうじゃ…ないけど…」

「けど?」

カウンターの隣に並んで腰掛けながら、ロキが心配そうな表情へと変化する。

その後ろに、レオの事を楽しそうに話すアリエスの姿が浮かぶ。

「私も、彼女みたいに素直で優しくてふわふわしてたら、守りたいって思われるのかな」

「彼女みたいにふわふわって…アリエスの事?」

「男なら、“守ってあげたい!”って思うんじゃない?」

儚げで、一生懸命で。

思わず支えてあげたくなるような。

…私とは、全く正反対の女の子を。

「うーん、そうじゃないとは言えないけど…一概にそれだけとも言えないと思うよ。だって僕は…」

ふいに笑っていたロキが、その表情を消した。

「僕は、ルーシィが本当に誰よりも一番可愛いと思ってるし…誰よりも好きだよ?」



「…ふふっ」



思わず哂ってしまう。

少しむっとした表情を浮かべたロキ。



「僕の言葉、嘘だと思ってるの?」

「慰めてくれてありがとう。でも、“オーナー”である私を気遣ってくれなくてもいいのよ?」

「そんなんじゃないよ」

少し、イラッとした表情。

「そう?でも、アリエスの事を話す時のロキ。とっても幸せそうよ?」

―それこそ、全身から愛が溢れているかのように。

「ねぇ、ルーシィ」

くるり、と体をロキの方へと向けられる。

「僕は本気で言っている」

見つめてくる瞳の奥底に少しだけ、ちらついて見えるのは何だろう?

「ありがとね。…おかげで、少し落ち着いたわ」

これ以上ここにいても、ロキと押し問答になるだけだ。

カタン、とイスから降りる。

「ルーシィ…」

「やっぱり寝不足かなぁ。帰って寝るわ〜」

じゃね、と後ろを向いたままひらひらと手を振ってギルドを出る。

背中にロキの視線がずっと付いてきているのを感じていたけど、振り向かなかった。

そして、桜色の髪の毛は…。

私が出て行くことさえ気付かず、「いい加減にくたばれグレイ!」「それはテメェだ!ナツ!」と、相変わらずの乱闘を繰り返すだけだった。




*******************

2010.10.12

…あれ?

レオとアリエスをもう少しチラつかせる予定が。

いきなりぶっ飛ばしてルーシィに傾倒!

いや、最終的にはロキはルーシィにどっぷりの予定だったけど…。

アリエス消えるの早っ!!

そのうち、リメイクでリベンジするかなー…。

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