お題<book> 1

□ひとりで生きたいわけじゃない
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“ハートフィリア”

こんな名前、大っ嫌いだ。



※ひとりで生きたいわけじゃない※



『お嬢様』『ルーシィお嬢様』

広いお屋敷に、それを維持する為の沢山の人達。

そして、“お嬢様”を造る為の沢山の人達。

お嬢様として造られた私。

私を産んでくれたママは、もう…この世にいない。



「パパ、あのね!今日はね…!」

一緒に誕生日を祝いたかった。

いつも仕事仕事仕事で会うことさえ許されないパパ。

この広いお屋敷の中、例え会えなくてもただ一人の私のパパ。

邪魔するつもりなんかなくて。

でも、年に一度のこの日だけは、一緒にいたくて。

私を見て欲しくて。

「パパ、今日はパパのね…!」

(聞こえてないのかな…?)

書類から一度も目線を外さないパパに、いっそう声を張り上げた。

途端。

「五月蝿い!!邪魔をするな!!」

睨まれて怒鳴られて誕生日だって伝えても「そんなくだらない事をするな!!」…って。

泣きながら部屋を飛び出した私を、追いかけてくれる足音もなく。

庭の木の下でただ泣いて。ひたすら泣いて。

やっと涙が枯れた時、空を見上げた。

そこにあるのは、地平線まで続く青い空。

(この空の向こうには、ママが住んでいる世界があるのかな…)

手を伸ばしても届かない、遠い世界。

ゆっくりと、周りを見回す。



山のごとく鎮座する巨大な屋敷。

飾り物のように綺麗に整えられた庭園。

遥か遠くに広がる山々の連なり。



どれもがみんな、私にとって無意味なもの。



「私が生きる場所は、ココなんかじゃない…」

いつかこの屋敷を飛び出して、ひとりで生きていくんだ。

私だけで。

私ひとりだけで。

誰も助けてなんてくれないから。



―そう、誰も。



背後には、ただの闇。

守ってくれる者など、いない。



“ひとり”で生きる。

そう決めた。




*******************

2010.10.12

前フリ的にルーシィの過去捏造。

というか、原作を少し改造。

ルーシィが強くなろうと思うようになった過去を感じて…もらえてんのかな…。

ルーシィ好きです。

可愛いなぁ。

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