学園パロ<book>

□ほら、あの子が駆けてくる
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「ルーシィさん、待って〜」



後ろから名前を呼ばれて振り返る。

学級委員であるレビィが廊下の端から猛ダッシュで近付いてきて、…って。

―――止まれるの、それ。



「きゃー!」

「ちょ、ちょっと!」



勢い余ってそのままダイブしてきた体を受け止め、廊下へ転がる。

かろうじて頭を廊下に打ち付けるのは回避できたものの…。



「ったぁ〜…」



ろくに受け身も取れず、2人分の体重を受け止めたお尻は強かコンクリートへと打ち付けたルーシィ。

さすがにこれは痛いと顔に出さずにはいられない。



「ごっ、ごめんねっ!」

「いや…いいけどね…。怪我、ない?」



よっと体を起こしながらレビィの手を引き、そっと立たせる。

スカートに付いた埃を掃いながら、ついでにレビィの足元についた埃もぱんぱんと掃った。

とりあえず、怪我はないようだけれど――…。



「私は大丈夫っ。ルーシィさんは…」



再度呼ばれた名前に、“そういえば”と思い出し、手を上げレビィの言葉を制止する。



「“さん”、いらないから」

“私たち、クラスメイトでしょ?”…そうウィンク付きで告げれば。

「じゃ、私もレビィで!よろしくルーシィ」と、改めて笑顔のレビィとがっちり握手。

女の友情成立、である。



「そんなに急いでどこ行くの?」



昼休みになって早々、教室をひとりで抜け出したルーシィへレビィが問う。

まだ来たばかりで場所に不慣れだろうから、昼休みにでも案内しようと思っていたのに。

チャイムが鳴ると同時に教室から出て行ってしまったルーシィ。

慌ててその後ろを全力で追い掛けた結果。――追突事故、という訳なのだが。



「図書室に行こうと思って」

「図書室?」

「本が大好きだから。私」



迷いもなく、ずんずんと目的地へ向かい歩くルーシィへ、“図書室の場所は分かるのか”と聞くと。

“もう学校の配置は全部覚えたから”と何でもない事のようにさらりと答えるルーシィ。



「はー…、ルーシィってばすごいのねぇ」



“入学して3か月経ったけど、未だに迷子になるわ!”なんて笑うレビィにつられ、ルーシィも笑う。

確かに、この学園はかなり広い方だとは思うけれど。

それでも迷子になるというのは、…レビィの人柄ゆえか。



「図書室、とうちゃーく!」



カラリとレビィがそのドアを開け放つ。

図書室の入り口は、かなり重厚な作りであるというのに軽い音を立ててあっさりと開いた。

メンテナンスがかなり徹底して行われているらしい。

―――さすが、国内随一を誇るフェアリーテイル学園。



「ささ。入って入って〜」



まるで自分の家のように嬉しそうに誘うレビィに誘導され、その中へと1歩足を踏み入れる。

途端に鼻腔を通り抜けた、何とも言えない、…大好きな紙とインクの香り。



「いい香りね…」



瞼を閉じ、すぅ、と深呼吸したルーシィを、レビィが嬉しそうに見つめていた。

********************

2011.02.09

クラスにひとりはいるよね、こういうドジッ子。

ルーシィは何だか男勝りな感じになり始め…ぐはっ。(吐血)


song:まっててごらん

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