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□ハロウィンの逆襲。おまけ。
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「レオ様」

「ね、ねぇ。それはちょっと、どうかなーって思うんだけど」

「姫のご命令は絶対ですよ?レオ様」

「やめっ、バルゴ…!」



星霊界にこだまするのは、彼らのリーダーである最強の星霊の悲鳴。

その彼に迫る姿は、ばさりと盛大なフリルのついた明らかに女性の物と思える衣装を手にしたメイド。



「さぁ、レオ様!」

「い、やだぁぁー…っ」



遠巻きに見つめる他の星霊達の前で。

レオはバルゴの見事な早業をその身をもって味わう羽目となった。





□ハロウィンの逆襲。おまけ。





こんがり綺麗なきつね色に焼けたトーストと、それに添えたスクランブルエッグ。

小鉢に入れたサラダをフォークで突っつきながら、手にした紅茶のカップをこくりと1口。

久しぶりにのんびりと朝食を楽しむ事が出来る朝に、ルーシィはひとり笑みを浮かべながらカップを戻した。



「んー、やっぱり朝はのんびりするのが一番よね」



一人暮らしのハズなのに、滅多に味わう事が出来ない優雅な朝食タイム。

そもそも今までの日常が間違いなんだと、改めていつも予告なしにやってくる侵入者達の顔を思い浮かべて。

これまた唐突に、昨夜の姿が脳裏に浮かんだ。



「…ぶっ。くすくす」



深夜にやってきた、望みもしない来訪者達。

私の命令を受けてアレを手に追いかけるバルゴから逃げて逃げてひたすら逃げて。

でもやっぱり、バルゴに勝てるハズもなく。

あえなく捕まって、一瞬のうちに素敵な服に衣装替え。



ロキの“有り難い”置き土産は、着せた者しか脱がせられないといういわく付きのモノ。

ひらひらのメイド服を纏ったナツとグレイの姿は何と表現したらいいのか口にするのは避けたいと思うが。

とりあえず、まだバルゴに許可はしていない以上、昨夜からずっとあの格好のままだろう。



「今日はギルドに来るのかしらね、あの2人」



何が何でも来ない、というのが妥当な線。

それではやっぱりつまらないから、無理矢理連れてきてもらおうかしら、なんて。

とても不穏な事を考えながら、にやりと笑うルーシィ。



――実はまだかなりの勢いで怒っていた。



「今度という今度は、徹底的にやってあげるわ…」



いつも散々好き勝手されているのだ。

珍しく手に入れた報復のチャンスは、最大限に楽しまなければ。



「それにしても、ロキはどうなったのかしらね」



バルゴを召還する為には、どうしてもロキを帰さなければならず。

お願いね、と頼んだからには絶対にメイド姿にさせられているんだとは思うけれど。

いかんせん、この目で確かめていないのだからはっきりとした確証は持てない。



「喚んでみるかなぁ」



じゃらりと束ねられた鍵の中から、彼の金色に輝く鍵を選び出す。

普段は喚んでもいないのに現れるが、…さすがに今日はやって来ないだろう。



「開け、獅子宮のー…」

「…もういるよ…」

「へ?ロ、ロキ?いたの!?…って、どこよ」



声はするけど姿は見えず。

ぐるりとさして広くない室内を一周見回して。

ひょっこり、と隣の部屋の壁から顔だけを出している顔と、ばちり視線がぶつかった。



「あら。いらっしゃい」

「…ルーシィ…。酷いよー…」

「誰が酷いのよ。元々、あんたの手土産でしょ」

「でも、僕が着る予定じゃなかったのにっ」



さめざめとわざとらしく泣き真似をする星霊を見つめ、ため息ひとつ。

責任転嫁も甚だしいと思ったりもするけれど。

ここはぐっと怒りを堪えて、にっこりと見事なまでの笑顔を浮かべる。



「そんなところにいないで。こっち来なさいよ」

「絶対に、嫌っ」

「お茶ぐらいは用意してあげるから。ご飯は?いる?」

「ルーシィ…もう、怒ってないの?」

「んー、でもお腹空いてたら可哀想じゃない?」

「ルーシィ…っ」



へにゃ、と情けない程に下がった目元を確認して、くるりと身体を翻す。

足を向けた先は、キッチン。

もちろん、ロキの朝食の準備をする為なんかじゃ、ない。



スタスタとキッチンへ迷いなく足を進めれば、がさりと衣擦れの音が耳に届く。

安心したロキが、恐る恐るながらも隣の部屋から出てきたのだろう。足音の様子で分かる。

1歩、2歩。その足音が徐々に近付き、ざっと思い描いた部屋の様子から察するに。



――今、この瞬間がチャンス!



「ねぇ、ロキ。…ぶっ、な、なによその格好…!」

「ヒドっ!ルーシィ、振り向くなんて卑怯だっ」

「卑怯って。くっ、くすくす」

「笑わないでっ!早くバルゴに頼んでよ!」

「えー?とってもお似合いなんだから、ずっとそのままでいたら?」

「………ルーシィ………」



床にしゃがみ込み、顔を手で覆い隠して今度こそさめざめと泣き始めたロキ。

盛大なフリルが床一面に広がり、その決して華奢とは言えないロキの身体を包み込む。

だが、―…何故だろうか。

誰がどう考えたって似合うハズがないのに、その仕草や見た目のインパクトは想像よりも遙かにダメージが少ない。



「…なんかムカつく」

「ルーシィ…?」

「何でもない!」

「そんなに怒らなくてもー…」



わっと声を上げながら、ぼすんとフリルに頭を突っ込んだロキはやっぱりどこか似合っていて。

ルーシィはそんな彼を見ながら、やっぱり今日1日は絶対に許さないでおこうと固く心に誓った。




Unhappy Halloween?

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おまけ。こちらもDLFですのでご自由にv

※DLF期間終了しました。

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