学園パロ<book>
□私が誰よりいちばん
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「はー…、やっぱりフェアリーテイル学園ともなると部活も凄いのねぇ…」
一通り、グラウンドで活動している部活をチェックしながら、ルーシィがぽつりと零す。
フェアリーテイル学園といえば、何かの大会にはいつも必ず名前が出ると気付いてはいたものの。
「これだけ凄けりゃ、当然だった訳ね」
改めてだだっ広いグラウンドをぐるりと見渡す。
無駄に広過ぎるのではとさえ思える広大な敷地を使用したグラウンドは、そのあまりの広さに地平線が丸く見える程。
そして、各部活動で使用されている器具もずらりと見事なまでに揃えられていた。
「環境がいいから、来たがる人も多いみたい〜」
「そりゃ、そうでしょ。これだけ凄いのは他に類を見ないんじゃない…?」
“えへへー?”とまるで自らを褒められたかのように照れるレビィ。
本当に根っからのいい子なのね、…とルーシィはくすりと笑う。
「あ。そう言えば。水泳部も見に行く?」
「水泳?プールがあるの?」
「うん。屋内プール。グラウンドから行けるんだ」
だから、大丈夫!とVサインをするレビィに、“じゃ、お願いしようかな”と告げる。
するとレビィは、“実はここなんだ。あはは”と、すぐ横にある建物を指し示した。
なるほど。どうりで、先ほどから笛の軽快な音が鳴ってると思ったら――…。
「あら、レビィじゃありませんの」
「あ!ジュビア!」
「どうしましたの?貴女がプールに来るなんて珍しい」
「んと。ルーシィに部活の紹介!」
“あぁ、なるほどですわ”…と頷く水着姿の女の子。
レビィはジュビアと呼んだが、どうやら私の事を知っている様子。という事は。
「今日はお話する機会がありませんでしたけど。貴女と同じクラスですわ、ルーシィ」
まるで考えていた事を先読みしたかのように答えるジュビア。(だよね?)
“よろしく”と優雅にお辞儀をされ、慌ててルーシィも頭を下げた。
まさしく、今さきほどまで水の中にいたらしい彼女。
競技用の水着を身に付け、全身が水で塗れているのだが。
なぜかくるりと外巻きになっているその髪は見事なカールを描いたまま。
―――形状記憶?いやいや。まさか。
ふっと浮かんだ怖い想像を押し出すかのように頭をぷるぷると振るルーシィ。
(実はつるんとしてて上に○ツラが上に乗っかってるとか!?…まさかね!)
想像力が豊かなお年頃。
スパコン並みの記憶力を持つ頭脳とはいえ、気にするところはやはり女の子視点。
そんなルーシィの空想を知ってか知らずか、ジュビアがじろりとルーシィを睨んだ。
「貴女…。まさかグレイ様を狙ってるんじゃないでしょうね!」
「…はい?」
「グレイ様は私のモノなんですっ。手出ししたら許しませんから!」
「あ、あのー…?」
突然、烈火の如く怒り始めたジュビアに、慌ててレビィの背後に隠れるルーシィ。
(何も悪い事はしてないけど)
間に立たされた形のレビィが、“相変わらずねぇ、ジュビア”…とカラカラ笑った。
「ごめんね、ルーシィ。ジュビアはグレイ先輩の事が大好きらしくて」
「グレイ先輩って。…図書委員の?」
「そう、あの脱ぎ癖のある」
「あー…、アノ」
「ちょっとそこ!グレイ様を“アノ”とか呼ばないで下さる!?」
どうやら聞こえてしまったらしいジュビアの剣幕に。
“ごめんなさ〜いっ”と一目散に逃げ出した2人だった。
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2011.02.11
後に恋のライバルとなるジュビア。
やはり彼女は水辺が似合う。ジュビーン。
song:ラムのラブソング